唐の滅亡から北宋の成立に至るまでの期間、中国大陸は諸国が並び立つ群雄割拠の時代を迎えた―五代十国時代である。
なかでも呉越国は十国の一つであるが、青磁を代表する越州窯を領土内に持ち、また、江南における釈迦信仰の歴史を受けて文化を豊かに高めた。
さらに、海港都市を有して海外と積極的な交流を図っており、国王銭氏一族を中心として展開されたその文化や外交が東アジアに与えた影響は非常に大きい。
本書では、新たな歴史的文物の発見が目覚ましい呉越国に関する最新の知見を盛り込み、王族墓からの出土品や雷峰塔など、その真髄ともいえる文化の一端を示し、また、東アジア圏における呉越国の在り方や日本、遼(契丹)、高麗などを含めた周囲の国々との関係について解説。
東洋美術及び東洋史、文学など諸分野からの多角的な視点より、東アジアにおける呉越国の与えた影響を総合的に捉える初めての書。
掲載図版150点超!