シリョウトシテノニホンショキ

史料としての『日本書紀』

津田左右吉を読みなおす
新川登亀男・早川万年 編
ISBN 978-4-585-22021-3 Cコード 3021
刊行年月 2011年10月 判型・製本 A5判・上製 576 頁
キーワード 国語学,古代,近現代

定価:10,780円
(本体 9,800円) ポイント:294pt

 品切 
書籍の詳細
歴史を「読む」ことの方法はどうあるべきか―

記紀批判、国民思想、中国思想、歴史教育等、多岐にわたる知の地平を切り開いてきた津田左右吉。
津田の死後、今に至るまでに、津田の学問、そしてその思想については、数多くの論がなされ、その知のあり方や手法は、さまざまに位置づけられてきた。しかし、そこに「読み違い」はなかっただろうか。
「史料」と「歴史」と。「事実史」と「思想史」と。そのあわいをいち早く捉え、人間を論じようとした津田左右吉を、あらためて、いま、読みなおすことから、「史料としての『日本書紀』」を問いなおす。
津田左右吉没後50年記念出版

*津田左右吉(つだ・そうきち)
日本史学者。1873(明治6)年、岐阜県(現在の美濃加茂市)生まれ。1961(昭和36)年、東京都武蔵野市にて没。
1891年、東京専門学校を卒業後、中学校教師・南満州鉄道株式会社(東京支社)歴史調査室勤務を経て早稲田大学教授(1920~1940)。1949年、文化勲章受章。
著書『日本古典の研究』、『文学に現はれたる国民思想の研究』など。没後、岩波書店から『津田左右吉全集』全三十三巻が編集、刊行された(第二次刊行時に補巻二巻を追加)。

 

 

目次
はじめに 新川登亀男

第一部 『日本書紀』の記述と「歴史的事実」
 「大化」「白雉」「朱鳥」年号の成り立ち 新川登亀男
 帝紀・旧辞と王統譜の成立 仁藤敦史
 白猪屯倉・児嶋屯倉に関する初歩的研究 笹川尚紀
 東国国司詔の史料性について 篠川 賢
 『日本書紀』と壬申の乱―壬申紀の述作者をめぐって― 加藤謙吉

第二部 『日本書紀』の典拠と表現
 『日本書紀』の類書利用―雄略紀五年「葛城山の猟」を中心に― 瀬間正之
欽明紀における漢籍典拠―侯景の乱を通して― 遠藤慶太
『日本書紀』の出典問題―『漢書』を例にして― 池田昌広

第三部 『日本書紀』の受容と展開
 奈良時代の『日本書紀』読書―養老講書をめぐって― 水口幹記
 中世日本紀の物語世界―〈海〉の中世神話― 小峯和明
 清原宣賢『日本書紀抄』試論―『日本書紀纂疏』との連関から― 徳盛 誠
 古活字本・版本『日本書紀』をめぐって 小倉慈司

第四部 津田左右吉の史学と方法
 津田左右吉の記紀批判と史実の認識 早川万年
 津田史学と古代史 小林敏男
 黎明期の記紀神話研究をめぐる動向―津田左右吉と高木敏雄・柳田國男を中心に― 増尾伸一郎
 津田左右吉と国語学 沖森卓也

第五部 津田左右吉の思想と心
 〈知〉の貯水湖の生成―『文学に現はれたる我が国民思想の研究』の成立事情― 神野藤昭夫
 津田左右吉と中国・アジア 池田知久
 書簡にみる津田左右吉の意識、心情 藤原秀之

あとがき 早川万年

執筆者一覧
プロフィール

新川登亀男(しんかわ・ときお)
早稲田大学文学学術院教授。専門は日本古代史。
著書に『日本古代の対外交渉と仏教―アジアの中の政治文化―』(吉川弘文館、1999年)、『日本古代の儀礼と表現―アジアの中の政治文化―』 (吉川弘文館、1999年)、『漢字文化の成り立ちと展開』(山川出版社、2002年)、『聖徳太子の歴史学』(講談社、2007年)などがある。

早川万年(はやかわ・まんねん)
岐阜大学教育学部教授。専門は日本古代史。
著書に『壬申の乱を読み解く』(吉川弘文館、2009年)、論文に「律令制以前のヤマトと伊勢」(八賀晋編『伊勢・伊賀の古墳と古代社会』同成社、2010年所収)、「延喜兵庫式の成立」(『延喜式研究』23、2007年)、「津田左右吉の『史料批判』について」(『季刊 日本思想史』67、2005年)などがある。

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