世界に誇る大長編・大傑作の完全版を初公開!
明治・大正・昭和の激動の世紀に、日本人はいかに苦難と苦悩の道を歩み、希望をつないできたか。時代の証言として描く近代精神史。
「君が一高志望だって校長から聞いて、うれしかった。おたがいに頑張って、一度でパスしようや。一高へパスさえすれば、家庭から超越できるばかりでなくて、僕たちの前には、洋々たる未来が開けてくるからね。」漁村に買われてくる男児も、売られてゆく娘たちも次郎の友達だった。
*本巻「人間の運命3 友情―第一部第二巻」は、新潮社版『人間の運命』第二巻「友情」(昭38・2初版)の著者訂正本を底本とし、やはり著者の校閲した新潮文庫版『人間の運命(一)』(昭51・1刊)を参照した。著者訂正本の見返しには、「定本」として「これでよし 一九八五年八月 光」とある。