世界に誇る大長編・大傑作の完全版を初公開!
明治・大正・昭和の激動の世紀に、日本人はいかに苦難と苦悩の道を歩み、希望をつないできたか。時代の証言として描く近代精神史。
次郎は小学校の代用教員として働いて蓄えをつくり、念願の一高進学を果たし、生涯の友と出会い、兄一郎や吉原を足抜けしたおさく、幼なじみの石田や周囲の人たちと交わりながら、少年から青年へと成長する。自身の貧困と孤独、信仰などの問題を深くみつめながら、文学へ目覚めてゆく。
*本巻「人間の運命4 愛―第一部第三巻」は、新潮社版『人間の運命』第三巻「愛」(昭38・7初版)の著者訂正本を底本とし、やはり著者の校閲した新潮文庫版『人間の運命(二)』(昭51・1刊)を参照した。著者訂正本の見返しには、「定本」として「◎訂正 一九八五年夏 光治良」とある。