世界に誇る大長編・大傑作の完全版を初公開!
明治・大正・昭和の激動の世紀に、日本人はいかに苦難と苦悩の道を歩み、希望をつないできたか。時代の証言として描く近代精神史。
昭和5年、経済恐慌は常態化し、都市には失業者があふれた。
娘を売るほど地方は貧困にあえぎ、結核は容赦なく蔓延する。
思想活動は活発化し、社会も家庭も個人も文化も激変。閉塞感が充満するなか、日本を揺るがす満洲事変が勃発した…。
*本巻「人間の運命9 嵐のまえ―第二部第二巻」は、新潮社版『人間の運命』第二部第二巻「嵐のまえ」(昭40・11初版、昭46・6刊17刷)の著者訂正本を底本とし、やはり著者の校閲した新潮文庫版『人間の運命(四)』(昭51・2刊)を参照した。著者訂正本の見返しには、「○昭和六十年九月十二日/訂正終る 光」とある。(勝呂奏)