日朝関係を文物の交流から捉え直す
江戸時代の日本が対等に国書を交わした唯一の正式な外交国、朝鮮。
近世期は、両国がともに永く影響を受けてきた中華文明から徐々に離脱し、政治・経済(農業・商業)のみならず、学問・文化・文学・芸術方面においても飛躍的な発展を遂げた時代であった。両国がともに海禁策をとったため、人的交流は必ずしも活発ではなかったが、文物の交流は様々な形で行われ、相互に影響を与えあった。
ところが、従来の日本近世文学研究では、中国との関係については盛んに議論されてきたものの、朝鮮についてはほぼ等閑視されてきたと言ってよい。
本書では、日本近世文学を中国からではなく、朝鮮から見ることによって新しい視界を開き、日本と朝鮮との間に存在している問題を明らかにする。