光明皇后の阿弥陀信仰と法華寺阿弥陀浄土院の思想的背景を探る
光明皇后が生涯最後に造営した法華寺。
藤原不比等の邸宅跡地に建てられたその寺地の西南隅に、阿弥陀浄土院と呼ばれる施設が存在した。
この阿弥陀浄土院は、不比等の庭園施設を利用し、巨大な池の中に建てられていたことが判明しているが、これは極めて特殊な例である。
なぜ庭園施設を利用したのか、なぜ池の中に阿弥陀堂を建立したのか。
光明皇后の発願意図とはどのようなものだったのか。
中国の皇帝専用の庭園施設である「苑」の景観との関係、同じく池の中島に建てられた平等院鳳凰堂への影響にも言及し、天平時代の代表的な阿弥陀堂である法華寺阿弥陀浄土院の特質を解明する。