魯迅賞作家と金路賞写真家による、貧しい故郷への熱い賛歌
夏は猛暑、冬は極寒。土地は砂漠化し、降雨に恵まれないのに、農業以外の産業らしい産業がない。中国政府に「国家級貧国地区」と認定された、不毛の地に生きる中国最大のムスリム(イスラム教徒)民族集団・「回族」。巨大な帝国「中国」の抱える貧困問題や民族間の軋轢にさらされながら、感情豊かに、たくましく生きる人々の姿を、70枚の写真とエッセイで紡ぐ。
*「西海固(シーハイク)」とは…
中国のほぼ中央、寧夏回族自治区南部の地域。この一帯は、「国家級貧国地区」とされ、そこに住まう人々は、半砂漠のなかで、過酷な生活を送っている。
*「回族」とは…
イスラム教を信仰する中国第二位の人口を誇る少数民族。そのルーツは7世紀に交易に来たアラビアやペルシャの人々といわれるが、その後の長い年月の間に漢民族と通婚し、現在では外見・言語上ともに、漢族とほぼ区別がつかなくなっている。しかしながら、イスラム教徒としての信仰と、関連した独自の習俗を持つ故に、漢民族との衝突も少なくない。