ヨシツグハイザンネンプコウショウ

吉嗣拝山年譜考證

長尾直茂 著
ISBN 978-4-585-29109-1 Cコード 3091
刊行年月 2015年11月 判型・製本 A5判・上製 392 頁
キーワード 総記,美術,文化史,大正,明治,幕末,近現代

定価:11,000円
(本体 10,000円) ポイント:300pt

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書籍の詳細
明治期漢詩文・文人画壇の動向を伝える基礎資料

日本文学史上もっとも漢詩文が隆盛であった明治期、広瀬淡窓の開いた咸宜園に学び、左手の文人画家として名を挙げ、のちに地方三大家の一人に数えられるほどの確固たる名声を築いた、九州文人画壇における中心人物・吉嗣拝山。
漢詩集『古香書屋詩存』、『福岡日日新聞』等の地方紙、日記・草稿類や写真帖などの資料を網羅的に検証し、150点を超える図版とともに、拝山の生涯、そして明治期漢詩文界の動向を活写した年譜を収める。
あわせて拝山の中国体験、世に流布する拝山贋作の問題を取り上げた論考を収載。
資料編として、これまで未公開であった自筆日記・草稿類、所用印譜を影印・翻刻し、多角的な研究の基盤を提供する。
明治期の漢詩文研究・文人画研究を行うための必須の書籍。


*吉嗣拝山(よしつぐ・はいざん)とは…
幕末の太宰府に生まれた文人画家・漢詩人。
漢学を大分日田の咸宜園において広瀬青村に学び、絵画を京都の中西耕石に学んだ。明治の初めに事故で右腕を切断するという憂き目にあい、その後左手で書画を執筆した。そのため世に〝左手拝山〟と呼ばれた。
また、切断した右手の腕骨を筆の軸とした「骨筆」を作製、これを引っ提げ中国に渡り、当時の上海画壇においても左手の文人として評判となった。終生、太宰府天満宮の傍らに住み、福岡・博多ひいては九州を代表する画家・漢詩人として誰知らぬ者はない存在であり、当地に行幸された大正天皇の御前で骨筆をふるって梅花を描き喝采を博するほどの名声があった。
大正四年(1915)正月に亡くなり、本年(2015)が歿後百年となる。

 

 

目次
緒言
 はじめに
 一 伝記関係資料解題
 二 著作解題
    [漢詩文集]
    [書画集]
 図版一覧

第一部 年譜考證
凡例
弘化三年(一八四六)一歳
安政五年(一八五八)一三歳
万延元年(一八六〇)~文久元年(一八六一)一五~一六歳
元治元年(一八六四)一九歳
慶応二年(一八六六)二一歳
慶応三年(一八六七)二二歳
慶応四年(一八六八)二三歳
明治元年(一八六八)二三歳
明治二年(一八六九)二四歳
明治三年(一八七〇)二五歳
明治四年(一八七一)二六歳
明治五年(一八七二)二七歳
明治六年(一八七三)二八歳
明治七年(一八七四)二九歳
明治八年(一八七五)三〇歳
明治九年(一八七六)三一歳
明治一〇年(一八七七)三二歳
明治一一年(一八七八)三三歳
明治一二年(一八七九)三四歳
明治一三年(一八八〇)三五歳
明治一四年(一八八一)三六歳
明治一五年(一八八二)三七歳
明治一六年(一八八三)三八歳
明治一七年(一八八四)三九歳
明治一八年(一八八五)四〇歳
明治一九年(一八八六)四一歳
明治二〇年(一八八七)四二歳
明治二一年(一八八八)四三歳
明治二二年(一八八九)四四歳
明治二三年(一八九〇)四五歳
明治二四年(一八九一)四六歳
明治二五年(一八九二)四七歳
明治二六年(一八九三)四八歳
明治二七年(一八九四)四九歳
明治二八年(一八九五)五〇歳
明治二九年(一八九六)五一歳
明治三〇年(一八九七)五二歳
明治三一年(一八九八)五三歳
明治三二年(一八九九)五四歳
明治三三年(一九〇〇)五五歳
明治三四年(一九〇一)五六歳
明治三五年(一九〇二)五七歳
明治三六年(一九〇三)五八歳
明治三七年(一九〇四)五九歳
明治三八年(一九〇五)六〇歳
明治三九年(一九〇六)六一歳
明治四〇年(一九〇七)六二歳
明治四一年(一九〇八)六三歳
明治四二年(一九〇九)六四歳
明治四三年(一九一〇)六五歳
明治四四年(一九一一)六六歳
明治四五年(一九一二)六七歳
大正元年(一九一二)六七歳
大正二年(一九一三)六八歳
大正三年(一九一四)六九歳
大正四年(一九一五)七〇歳


第二部 論考篇
 一 明治一一年、吉嗣拝山の清国渡航をめぐって
 二 吉嗣拝山の画業とその贋作をめぐって


第三部 資料篇
 一 日記・草稿類
  解題 翻印の方針
  日記Ⅰ 日記Ⅱ
  草稿類 日記Ⅲ
  日記・草稿類 影印
 二 印譜
  解題
  印譜 影印


参考文献一覧
いささか長き跋文―謝意に代えて―
人名索引
プロフィール

長尾直茂(ながお・なおしげ)
1963年、福岡県生まれ。上智大学大学院博士後期課程満期退学。現在、上智大学文学部教授。専門は中国古典学・日本漢学。
主な論著に、新書漢文大系21『世説新語』(編著、明治書院、2003年)、「中世禅林における『新刊全相平話前漢書続集』の受容―清家文庫所蔵『漢書抄』への引用をめぐって」(『漢文學解釋與研究』第12輯所収。漢文学研究会、2011年)、「日本漢詩文に見る楠正成像―諸葛孔明との関連において」(アジア遊学173『日中韓の武将像』所収。勉誠出版、2014年)などがある。

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