アジア遊学193
チュウゴクリベラリズムノセイジクウカン

中国リベラリズムの政治空間

石井知章・緒形康 編
ISBN 978-4-585-22659-8 Cコード 1331
刊行年月 2015年12月 判型・製本 A5判・並製 352 頁
キーワード 社会学,中国

定価:3,080円
(本体 2,800円) ポイント:84pt

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書籍の詳細
社会主義中国で、いったいなぜリベラリズムなのか。一党独裁による言論統制下で、リベラリズムについて語る余地が、その政治空間のどこにあるのか

現執行政権に対して根源的(ラディカル)に「批判的」であるというだけの理由で、多くのリベラル派知識人たちが、党=国家側の一方的評価である「反体制派」として一括して分類されてきた。こうした没理性的分類法は、権力側の意思によって恣意的にフレームアップされたものであり、唯一の政治的価値を絶対化し、それ以外を排除しようとする意思を反映したものである。
いかにして自由や民主主義といった社会的規範性のともなう「普遍的価値」を創造し、それを中国独自の個別具体的な土壌に根付かせることができるのか。社会に自由と権利が十分に保障され、憲政民主が実行可能となり、各市民が平等に尊重されつつ、公平な分配を獲得できる制度のもとで、自由で平等な市民のための政治共同体を築けるかどうかが問われている。

 

 

目次
【座談会】
中国のリベラリズムから中国政治を展望する 李偉東・石井知章・緒形康・鈴木賢・及川淳子

【総論】
中国政治における支配の正当性をめぐって 緒形康

【第1部 現代中国の政治状況】
二十一世紀におけるグローバル化のジレンマ:原因と活路―『21世紀の資本』の書評を兼ねて 秦暉(翻訳:劉春暉)

社会の転換と政治文化 徐友漁(翻訳:及川淳子)

「民意」のゆくえと政府のアカウンタビリティ―東アジアの現状より 梶谷懐

中国の労働NGOの開発―選択的な体制内化 王侃(翻訳:大内洸太)

【第2部 現代中国の言説空間】
雑誌『炎黄春秋』に見る言論空間の政治力学 及川淳子

環境NGOと中国社会―行動する「非政府系」知識人の系譜 吉岡桂子

日中関係三論―東京大学での講演 栄剣(翻訳:古畑康雄)

艾未未2015―体制は醜悪に模倣する 牧陽一

【第3部 法治と人権を巡る闘い】
中国司法改革の困難と解決策 賀衛方(翻訳:本田親史)

中国における「法治」―葛藤する人権派弁護士と市民社会の行方 阿古智子

ウイグル人の反中レジスタンス勢力とトルコ、シリア、アフガニスタン 水谷尚子

習近平時代の労使関係―「体制内」労働組合と「体制外」労働NGOとの間 石井知章

【第4部 中国リベラリズムの未来】
中国の憲政民主への道―中央集権から連邦主義へ 王建勛(翻訳:緒形康)

中国新権威主義批判 張博樹(翻訳:中村達雄)

【あとがきに代えて】
現代中国社会とリベラリズムのゆくえ 石井知章
プロフィール

石井知章(いしい・ともあき)
明治大学商学部教授、早稲田大学大学院政治学研究科兼任講師。政治学博士。
主な著書に、『現代中国のリベラリズム思潮』(編著、藤原書店、2015年)、『現代中国政治と労働社会―労働者集団と民主化のゆくえ』(御茶の水書房、2010年、日本労働ペンクラブ賞受賞)など。

緒形康(おがた・やすし)
神戸大学アジア総合学術センター長、人文学研究科教授。専門分野は中国近代思想史。
主な著書に『危機のディスクール―中国革命1926~1929』(新評論、1996年)、『一九三〇年代の接触空間―ディアスポラの思想と文学』(編著、双文社出版、2008年)、『アジア・ディアスポラと植民地近代―歴史・文学・思想を架橋する』(編著、勉誠出版、2013年)など。

書評・関連書等

「日本経済新聞」(2016年3月13日)にて、本書の書評が掲載されました。

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