ハンニチトケンカンノドウジダイシ

「反日」と「嫌韓」の同時代史

ナショナリズムの境界を越えて
玄武岩 著
ISBN 978-4-585-23038-0 Cコード 1036
刊行年月 2016年4月 判型・製本 四六判・上製 432 頁
キーワード 現代社会,社会学,近現代

定価:4,620円
(本体 4,200円) ポイント:126pt

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書籍の詳細
歴史対立を乗り越える方法論を提唱

国交正常化50周年を迎えた日韓関係は、「反日」「嫌韓」という現象をともなって展開している。
「65 年体制」の構造のねじれとゆがみを凝視し、歴史認識の溝によるもろい日韓関係を根底から組み立て直す方法を探る。

 

 

目次
序章 日韓関係の境界構築とその解体に向けて
一 「日韓新時代」の終わりへ
二 「六五年体制」を再考する三つの枠組み 
三 「反日」と「嫌悪」の連鎖 
四 日韓関係の「境界」を再考する 

第一部 「反日」のなかの日韓関係
第一章 移動の境界と越境―釜山収容所/大村収容所の「境界の政治」 
一 帰国・抑留・送還の「内なる境界」―釜山収容所と大村収容所 
二 在韓日本人女性の連続する戦前/戦後と、断絶としての帰国 
三 釜山外国人収容所の誕生と変容 
四 大村収容所から釜山収容所へ―「密航者」の取り調べの場 
五 「権力のワイルドゾーン」に抗して 

第二章 文化の境界と禁止―日本大衆文化をめぐる韓国の文化的アイデンティティ 
一 「日本大衆文化禁止」という「内なる境界」 
二 越境するアニメ―無国籍性とナショナリズムの両面 
三 韓国におけるテレビアニメと日本 
四 アニメソングという問題系―文化的アイデンティティとアニメ 
五 オリジナルへの欲望を超えて 

第三章 思想の境界と断絶―韓国における原爆体験のゆがみと〈反核〉 
一 ヒロシマなき反核は可能か 
二 「事件」としてのヒロシマ 
三 力への崇拝―韓国における核開発の試み 
四 ヒロシマなき〈反核〉―一九八五年 
五 〈反核〉のポリティクス―一九九五年 
六 〈反核〉とヒロシマ/ナガサキの断絶面―二〇〇五年 
七 ヒロシマ/ナガサキへの共苦と「平和の文化」 

第四章 歴史の境界と対立―歴史認識と過去清算のナショナリズム 
一 歴史認識の「境界」と「六五年体制」 
二 アジアという戦後補償の磁場 
三 歴史認識としての韓国 
四 衝突するナショナリズム 
五 過去清算のナショナリズム―金大中事件からみる韓国の「過去清算」 
六 「過去清算」への応答を 

第二部 「反日」と「嫌韓」の連鎖を断つ
第五章 戦争被害受忍論を克服する「方法としての歴史問題」
    ―中国帰国者、原爆被害者、そして『基町アパート』 
一 問われる『基町アパート』の歴史表象 
二 「共通の歴史認識」/「共有できる歴史認識」 

三 「中国残留日本人」の歴史的形成と「帰国」 
四 戦争被害受忍論に挑む 
五 本国帰国者の多重的アイデンティティの可能性 
六 ナショナル・ヒストリーから東アジア公共性へ 

第六章 サハリンで交錯する日韓の「残留者」たち―日韓ロの多層的空間を生きる 
一 戦後サハリンの日本人女性 
二 戦後歴史学のなかの階級・民族・ジェンダー 
三 民族・階級・ジェンダーの継続する植民地主義 
四 女たちの戦後―反転する支配構造と絡まり合う家族 
五 サハリン残留日本人の戦後と帰国 
六 「本国帰国者」のトランスナショナリズム 
七 日韓ロのトランスナショナルな生活空間の創造 

第七章 在日コリアンの名前とアイデンティティ―本名と通名の裂け目 
一 在日特権から在日人権へ 
二 「本名」のアイデンティティ・ポリティクス 
三 変化する「本名をはばむもの」 
四 「冬ソナ」と「在日」 
五 あふれる民族名 
六 変容する「本名」 
七 主役としての「在日」 
八 名前のバッシングとパッシングを越えて 

第八章 領土問題を超える東アジアリージョナリズムのビジョン―「国益」の境界解体 
一 東アジアリージョナル放送の構築に向けて 
二 歴史問題としての領土問題 
三 対立する領土ナショナリズム 
四 サンフランシスコ体制と戦後日本 
五 グローバル化する人権 
六 「慰安婦」と「平和国家」の普遍化を通じたトランスナショナルな連帯 
七 多様な「国益」概念を反映するリージョナル放送へ 

終章 境界解体の半世紀へ―「連帯」を研ぎ澄まして 
一 森崎和江と戦後日韓 
二 「継続する植民地主義」としての「嫌韓」 
三 「からゆきさん」と「帝国の慰安婦」 
四 国境に近い女の歴史から「境界」を解体する 

あとがき 
索引(事項/人名)
プロフィール

玄武岩(ひょん・むあん)
1969年生まれ。北海道大学大学院メディア・コミュニケ―ション研究院准教授。専門はメディア文化研究、日韓関係論。
著書に『韓国のデジタル・デモクラシー』(集英社新書、2005年)、『統一コリア―東アジアの新秩序を展望する』(光文社新書、2007年)、『コリアン・ネットワ―ク―メディア・移動の歴史と空間』(北海道大学出版会、2013年)。共著に『興亡の世界史18 大日本・満州帝国の遺産』(講談社、2010年)。編著に『越境するメディアと東アジア―リージョナル放送の構築に向けて』(勉誠出版、2015年)がある。

書評・関連書等

・「週刊金曜日」(2016年8月5日)にて、本書の紹介文が掲載されました。
・「図書新聞」(2016年11月5日)にて、本書の書評が掲載されました。(評者:崔真碩(文学者))

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