アサクサブンゲイハンドブック

浅草文芸ハンドブック

金井景子・楜沢健・能地克宜・津久井隆・上田学・広岡祐 著
ISBN 978-4-585-20049-9 Cコード 1001
刊行年月 2016年6月 判型・製本 A5判・並製 304 頁
キーワード 総記,近現代

定価:3,080円
(本体 2,800円) ポイント:84pt

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書籍の詳細
浅草らしさとは何か

数々の低迷と隆盛を経た浅草はどのように描かれてきたのか。
浅草を舞台とした小説や映画、演芸、浅草にゆかりのある人物を中心に、明治から現代までの浅草、あるいは東京の文化が形成される軌跡を辿る。
昔のものが消えても、苦境を乗り越え、新たなものが参入し、それが人を呼び寄せていく。
様々な文芸作品と100枚を超える写真から、〈かつての浅草〉と〈現在の浅草〉を結びつける!

 

 

目次
はじめに

巻頭インタビュー
作家戌井昭人氏に聞く 浅草という体験
「十和田」の冨永照子さんに聞く 「浅草」をつなぐおかみさんの声

浅草文芸選
外国人の見た幕末・明治の浅草
 ロバート・フォーチュン『幕末江戸探訪記 江戸と北京』
 ピエール・ロチ『秋の日本』
明治四十一年の江戸情調
 木下杢太郎『淺草觀世音』『淺草公園』
隠蔽する十二階/暴露する瓢簞池
 室生犀星「幻影の都市」
九月、浅草の公園で
 江馬修「奇蹟」
凌雲閣から見えない浅草
 江戸川乱歩「押絵と旅する男」
「感情の乞食」が浅草で拾ったものは何か
 川端康成『浅草紅団』
現在を語ることの難しさ
 堀辰雄「水族館」
あの機械は、機械の悲しさにたとえ宮様のお通りでも、十銭入れなきゃ廻らないんだ
 貴司山治「地下鉄」
靴と転業をめぐる「マジな芝居」は書かれたか
 高見順『東橋新誌』
ぼっちゃん、おじょうちゃんへの浅草教育
 幸田文「このよがくもん」
行き場のないフラヌールの邂逅
 水木洋子・今井正『にっぽんのお婆あちゃん』
浅草の美、その映像的表現
 加藤泰・鈴木則文『緋牡丹博徒 お竜参上』
ハダカと浅草の遠近法
 井上ひさし「入歯の谷に灯ともす頃」
浅草の「見世物」から浅草という「見世物」へ
 寺山修司「浅草放浪記」
墨堤からながめる浅草
 沢村貞子『私の浅草』
吾妻橋コレクション
 半村良『小説 浅草案内』
芸人によって重ねられた都市の年輪
 ビートたけし『浅草キッド』
焼跡と復興と、戦災孤児のゆくえ
 木内昇『笑い三年、泣き三月。』

コラム
 奥山の伝統をつないだ風狂の人
 浅草一丁目一番地の愉楽―神谷のバアと朔太郎と
 劇場・陋巷・探偵趣味
 震災と浅草―復興と明治の終焉
 パロディと幻想―エンコの六・江戸川乱歩・浅草紅団
 演歌の〈誕生〉―神長瞭月と浅草の映画館街
 吾妻橋西詰のモダニズム―永井荷風『断腸亭日乗』の浅草風景
 モダン浅草の残像をたどる
 浅草にマリアがいた―北原怜子と「蟻の街」
 浅草みやげ
 路上の叡智―添田啞蟬坊・知道『浅草底流記』
 映画のなかの〈写された/作られた〉浅草
 地上げと原っぱ―八〇年代浅草の、とある風景
 〈見世物〉としての演芸―小沢昭一の叙述から
 浅草への陸路―雷門から入る啄木/雷門から入らない犀星
 浅草の銭湯・温泉
 浅草の祭り

浅草散歩
 ①浅草をちょっと知っているつもりの先生と初めて浅草を訪れる学生の半日
 ②歌舞伎女子、新春の浅草にお芝居と歴史を訪ねる
 ③落語家・金原亭馬治さんと歩く浅草

浅草の石碑を歩く
 浅草寺新奥山―記念碑・句碑でたどる浅草
 明治二五年の正岡子規を想う
 川柳発祥の地碑―川柳こそ浅草の文学
 鳥獣供養碑―震災の傷跡
 驚きの発見

人名・書名・作品名索引
プロフィール

金井景子(かない・けいこ)
1957年、大阪生まれ。小学校の塾、中学、高校、大学、専門学校、社会人講座で日本文学とジェンダー論を教えてきた。現在は、早稲田大学教育学部教員。
主な著著に、『真夜中の彼女たち―書く女の近代』(筑摩書房、1995)、編著に、『幸田文の世界』(翰林書房、1998)、『声の力と国語教育』(学文社、2007)などがある。

楜沢健(くるみさわ・けん)
1966年、東京生まれ。文芸評論家・早稲田大学他非常勤講師。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。
主な著書に、『だからプロレタリア文学』(勉誠出版、2010)、『だから、鶴彬』(春陽堂書店、2011)、『川柳は乱調にあり』(春陽堂書店、2014)、共著に、『葉山嘉樹・真実を語る文学』(花乱社、2012)、編著に、『アンソロジー・プロレタリア文学』全7巻(森話社、2013~、第3巻まで刊行)などがある。

能地克宜(のうぢ・かつのり)
1975年、東京生れ。早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(学術)。専門は日本近代文学、室生犀星。現在、いわき明星大学教養学部准教授。
主な著書に、『犀星という仮構』(森話社、2016)がある。

津久井隆(つくい・たかし)
1974年、宇都宮生まれ。早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は日本近現代文化研究。巣鴨中学・高等学校教諭。
主なエッセイに、「大阪への旅―文楽へのお誘い」(『アジア・文化・歴史』2016. 4)などがある。

上田学(うえだ・まなぶ)
1979年、千葉生まれ。立命館大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、日本大学他非常勤講師。専門は映画史・映像学。
主な著書に、『日本映画草創期の興行と観客 東京と京都を中心に』(早稲田大学出版部、2012)などがある。

広岡祐(ひろおか・ゆう)
1966年、東京生まれ。明治大学文学部史学地理学科卒業。東京都内の高校で社会科講師をつとめながら、近代史の研究と写真撮影を続けている。
主な著書に、『漱石と歩く、明治の東京』(祥伝社、2012)などがある。

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