トリトニンゲンヲメグルシコウ

鳥と人間をめぐる思考

環境文学と人類学の対話
野田研一・奥野克巳 編著
ISBN 978-4-585-23049-6 Cコード 1039
刊行年月 2016年11月 判型・製本 A5判・上製 416 頁
キーワード 民俗学,比較文学

定価:3,740円
(本体 3,400円) ポイント:102pt

 品切 
書籍の詳細
人間にとって未知なる視座(パースペクティブ)を持つ滑空者=鳥との、歴史的・文化的な関係を探る―

文学作品に描かれた自然を対象とする環境文学、民族誌として記録されてきた自然を対象とする人類学。その双方の視点から、人間が鳥をどのように捉え、語り、描いてきたのかを探る。
人類が地球環境に甚大なる影響を与える時代=「人新世(アントロポセン)」に、人間中心主義からの脱却と、世界/自然とのコミュニケーションを可能にする思考を提示する。

 

 

目次
はじめに 野田研一

序論―環境文学と人類学の対話に向けて 奥野克巳

第1部 文学と人類学の対話
 第1章 犬むさぼる呪術師―内陸アラスカのワタリガラス神話における犬肉食 近藤祉秋
 第2章 鳥を〈かたる〉言葉:梨木香歩の〈かたり〉の〈かたち〉 山田悠介
 第3章 リーフモンキー鳥のシャーマニック・パースペクティヴ的美学―ボルネオ島プナンにおける鳥と人間をめぐる民族誌 奥野克巳
 第4章 剥製の欲望から諸自己の詩学へ―一九世紀アメリカ文学における鳥の表象 山本洋平
 第5章 コメント① 山田仁史 / コメント② 野田研一

第2部 鳥をめぐる文学
 第6章 日本近代文学における鳥の表象―夏目漱石「永日小品」と泉鏡花「化鳥」を中心に 北川扶生子
 第7章 人間中心主義の解体へ向けて―近代イギリス文学にみる鳥の表象の変遷 唐戸信嘉
 第8章 開かれた〈想像力〉、解放される〈時間〉:〈いま・ここ〉に遭遇する物語 李恩善
 第9章 鳥の名前の倫理学 河野哲也
 第10章 【座談会】鳥の表象を追いかける 中村邦生×野田研一

第3部 鳥をめぐる人類学
 第11章 羽衣伝承にみるミンゾク学と文学の接点 山田仁史
 第12章 アガチャーとキジムナー―ヤンバルクイナの生態学的特徴と沖縄の妖怪伝説 島田将喜・宮澤楓
 第13章 フィリピン・パラワン島南部の焼畑漁撈民パラワンの鳥の狩猟罠 辻貴志
 第14章 カザフ騎馬鷹狩文化の宿す鷹匠用語と語彙表現の民族鳥類学 相馬拓也

 第15章 環境と虚環境のはざまを飛び走る鳥たち―狩猟採集民グイの民族鳥類学を中心に 菅原和孝

あとがき 奥野克巳
プロフィール

野田研一(のだ・けんいち)
立教大学名誉教授。
主な著書に、『交感と表象─ネイチャーライティングとは何か』(松柏社、2003年)、『自然を感じるこころ─ネイチャーライティング入門』(筑摩書房 2007年)、『〈風景〉のアメリカ文化学』([シリーズ・アメリカ文化を読む]、編著、ミネルヴァ書房、2011年)、『〈日本幻想〉 表象と反表象の比較文化論』(編著、ミネルヴァ書房、2015年)、『失われるのは、ぼくらのほうだ─自然・沈黙・他者』(水声社、2016年)などがある。

奥野克巳(おくの・かつみ)
立教大学異文化コミュニケーション学部教授。
主な著書に、『「精霊の仕業」と「人の仕業―ボルネオ島カリス社会における災い解釈と対処法』(春風社、2004年)、『文化人類学のレッスン―フィールドからの出発』(花渕馨也との共編著、学陽書房、2005年)、『人と動物の人類学』(山口未花子、近藤祉秋との共編著、春風社、2012年)、『文化人類学 改訂新版』(内堀基光との共編著、放送大学教育振興会、2013年)、『森は考える―人間的なるものを超えた人類学』(エドゥアルド・コーン著・共監訳、亜紀書房、2016年)などがある。

書評・関連書等

「週刊読書人」(2017年2月24日)にて、本書の書評が掲載されました。(評者:石倉敏明(秋田公立美術大学講師))

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