スポーツザッシノメディアシ

スポーツ雑誌のメディア史

ベースボール・マガジン社と大衆教養主義
佐藤彰宣 著
ISBN 978-4-585-23060-1 Cコード 0036
刊行年月 2018年1月 判型・製本 四六判・上製 288 頁
キーワード 出版,文化史,社会学,思想,近現代

定価:3,520円
(本体 3,200円) ポイント:96pt

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書籍の詳細
なぜスポーツ雑誌に「教養」が求められたのか?

戦後初期のスポーツ雑誌の誌面上には、「高尚さ」や「教養」を語る編集者や読者の声が少なからず存在している。
代表的スポーツ雑誌社であるベースボール・マガジン社の雑誌刊行の系譜を追うことで、現在のスポーツ・メディアのあり方とは異質な、スポーツ雑誌と「教養」との結びつきに光を当てる。
戦時期の国防意識、占領によるアメリカ文化の流入、高度成長とオリンピック、大衆化と教養主義の終焉など、日本人の戦後精神を跡付ける。

 

 

目次
序章  メディア史としてのスポーツ雑誌研究
(1)  問いの設定:なぜスポーツ雑誌と「教養」が結びついたのか?
(2)  先行研究との差異:スポーツ雑誌のメディア史
(3)  分析視角と研究方法
(4)  構成

第一章 女性ファン誌から国民体育誌へ―戦時期における指導的スポーツ雑誌の成立
(1) 早慶戦に沸くファン雑誌
(2) スポーツ精神を指導する雑誌
(3) 国民体育誌の戦死
(4) 「国防国家」の流用

第二章 インテリ気分を満たす野球雑誌―占領期における啓蒙志向の受容
(1) アメリカを語る「権威」の発見
(2) アメリカ野球を語る社会的エリート
(3) 修養主義の下で説かれるアメリカニズム
(4) 啓蒙志向の内面化

第三章 野球雑誌をめぐる啓蒙と娯楽の拮抗―高度成長期における変容
(1) 「見る雑誌」への転換と平凡文化との近接
(2) 啓蒙志向と娯楽志向の軋轢
(3) 読み易い週刊誌と国民的娯楽

第四章 スポーツ出版王国への拡大―1950年代における啓蒙志向の模索
(1) 野球からの飛翔
(2) 総合スポーツ出版社の成立
(3) オリンピックへの期待

第五章 マイナースポーツ誌の屈折―東京オリンピック前後における読者共同体の文化
(1) 日本における「知的」なサッカー像
(2) 啓蒙メディアとしてのサッカー雑誌
(3) 基軸メディアとしてのサッカー雑誌
(4) 「読むスポーツ」とメディアとしての雑誌

第六章 一流出版社への憧れと頓挫―1960年代での社会・文化領域への派生
(1) 趣味の指導
(2) 一般分野へのスピンオフ
(3) 啓蒙志向の限界

終章 教養主義的スポーツ雑誌の時代と終焉
プロフィール

佐藤彰宣(さとう・あきのぶ)
1989年生まれ。立命館大学授業担当講師。立命館大学大学院社会学研究科博士課程修了、博士(社会学)。専門はメディア史、文化社会学。
主要論文に、「野球雑誌をめぐる啓蒙と娯楽の拮抗―戦後初期における『ベースボール・マガジン』の変容」(『ソシオロジ』186号、2016年)、「戦後日本の雑誌メディアにおけるサッカー言説とその受容―「読むスポーツ」の規範と教養主義への近接」(『日本研究』25号、2016年)、「『戦闘機』への執着―ミリタリー・ファンの成立と戦記雑誌の変容」(『「知覧」の誕生―特攻の記憶はいかに創られてきたのか』柏書房、収用、2015年)など。

書評・関連書等

「日本経済新聞」(2018年3月10日)にて書評が掲載されました。
「信濃毎日新聞」(2018年3月18日)にて書評が掲載されました。(評者:玉木正之(スポーツ評論家))
「週刊読書人」(2018年7月27日)にて紹介文が掲載されました。
「ソシオロジ」(2019年6月)にて書評が掲載されました。(評者:井上義和(帝京大学))

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