天皇をめぐる文化体系は、いかに復古・継承されたのか―
政治的・社会的状況が混迷しつつあった江戸時代後期、神事・朝儀の再興と復古に尽力し、歴代最後の「生前退位」を行った光格天皇。
近代天皇制の礎を築いたとされるその営みの淵源・背景にある文化体系・歴史的状況はいかなるものであったのか。
天皇を中心に形成された歌壇とそこで培われた人的ネットワーク、そして、文化の継承・展開を支えた学芸と出版を歴史的に把捉することで、光格天皇、その兄である妙法院宮真仁法親王の文化的営みの意義を明らかにする。
*光格天皇(こうかくてんのう)とは…
第119代天皇。在位、安永八(1780)年11月25日~文化十四(1817)年3月22日。
今上天皇直系の閑院宮家から出た初代の天皇。生前退位をした歴代最後の天皇としても知られる。
好学としても名高く、朝廷の復権を願い、神事・朝議の復古・再興に力を入れ、近代天皇制の礎を築いた。