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玄宗皇帝の即位とともにこの世に生を受けた杜甫は、大唐の盛時、そして破滅の目撃者であった。「安禄山の乱」以後に数多くの作品をのこし、晩成の詩人とされる杜甫。その基盤が築かれた「開元の治」とは、どのような時代であったのか?文学の視点のみならず歴史・政治・思想・美術などのさまざまな時代的背景から杜甫の半生をひもとくことで、その人物像を浮かび上がらせるとともに、作品にのこされた太平の記憶を辿り、玄宗皇帝の時代を描き出す。
松原朗(まつばら・あきら)専修大学教授。専門は、杜甫を中心とする中国中世詩。主な著書に、『中国離別詩の成立』(研文出版、2003年)、『晩唐詩の揺籃』(専修大学出版局、2013年)、編訳書に『杜甫全詩訳注』(講談社学術文庫、2016年)などがある。
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