カートは空です。
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万里の長城を築く労役で夫を失い、のちに悲しい民謡のヒロインとなった女性、竜に変身してしまったことに苦しむ母思いの息子、自分に恋いこがれて死んだ男のために殉死して合葬された女性…。アジアの人々の心の底をつなぐ物語は、どのように語られてきたのか。平安朝日本に残された断片的な記載から、現代の風説に至るまで、さまざまな資料を駆使しながら、広く説話伝承の世界を照らし出す。
飯倉照平(いいくら・しょうへい)1934年千葉県生まれ。東京都立大学人文学部文学科(中国文学専攻)卒。出版社勤務ののち、神戸大学文学部教員、雑誌『中国』編集部、平凡社版『南方熊楠全集』校訂者ののち、1974~97年、都立大教員。南方熊楠邸の資料整理に協力。2004年南方熊楠特別賞受賞。著書に『南方熊楠 森羅万象を見つめた少年』(岩波ジュニア新書、1996年)、『中国の花物語』(集英社新書、2002年)、『南方熊楠 梟のごとく黙坐し居る』(ミネルヴァ日本評伝選、2006年)、『南方熊楠の説話学』(勉誠出版、2013年)、訳書に『中国民話集』(岩波文庫、1993年)などがある。
★書評・紹介★「口承文芸研究」43号(2020年3月)に書評が掲載されました。 →評者:立石展大(高千穂大学教授)