ユキノニニロク

雪の二・二六

最大の反戦勢力は粛清された
鈴木荘一 著
ISBN 978-4-585-22249-1 Cコード 0021
刊行年月 2019年9月 判型・製本 新書判・並製 200 頁
キーワード 日本史,昭和,近代

定価:880円
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書籍の詳細
皇道派は米英とは不戦を堅持しソ連軍の満州侵攻に備える一

国防主義に基づく対支不戦論を唱え、一方、永田鉄山ら統制派はドイツと軍事同盟を結ぶ集団国防主義によりソ連・米・英と戦うべく対支一撃論を唱えて対立した。統制派から圧迫されて二・二六事件に決起した皇道派は鎮圧され、抗争に勝利した統制派が日本陸軍を完全に支配し、日中戦争に踏み込み、さらに無謀な太平洋戦争へ突入する。

 

 

目次
まえがき

第一章 第一次世界大戦と日本陸軍
第二次大隈内閣のもとで第一次世界大戦に参戦 
荒木貞夫、小畑敏四郎が観戦武官として帝政ロシア軍に派遣された
山県有朋は親英路線の大隈内閣を倒閣
寺内正毅内閣の対支那外交の失敗 
寺内正毅内閣のときロシア革命が起きる
寺内正毅内閣のシベリア出兵
第一次世界大戦で軍事調査を行った親ドイツ派の永田鉄山

第二章 ワシントン体制という国際協調下で政党政治が進展
シベリア出兵を機に米騒動が発生
外相内田康哉が山県外交を遵奉し日英同盟を廃棄 
ワシントン体制に順応した加藤友三郎内閣
「憲政の常道」の確立
第一次若槻内閣は軟弱外交と批判され総辞職
内政を重視した田中義一内閣の瓦解
浜口内閣のロンドン海軍軍縮条約と鳩山一郎の統帥権干犯論

第三章 満州事変不拡大に務めた陸軍の宇垣派と皇道派
陸大閥の発生
満州における万宝山事件と中村震太郎大尉殺害事件
ソ連のモンゴル人民共和国建国とソ連特別極東軍の満州侵攻
事変不拡大方針の第二次若槻内閣に協力した陸軍・宇垣派が没落
陸軍三長官の鼎立による陸軍統一の試み
真崎甚三郎参謀次長による満州事変の終息
事変不拡大に務めた犬養毅内閣は五・一五事件で斃れる

第四章 親英米外交を排撃した外務省興亜派の台頭 
斎藤内閣・内田康哉外相の満州国承認と国際連盟脱退
リットン報告書の真実
松岡洋右が国際連盟から脱退
ワシントン体制が想定しなかった共産ソ連の軍事膨張
満州事変に便乗した外務省興亜派
近衛文麿が対外説明の必要性を力説
斎藤実内閣においても陸軍三長官の鼎立は保たれた
貴族院議長近衛文麿のアメリカ訪問

第五章 陸軍四派閥の興亡
ナチス・ドイツとの軍事同盟を目指した陸軍・統制派の永田鉄山
「永田構想」に反発した青年将校
皇道派小畑敏四郎・荒木貞夫の対支不戦論

第六章 皇道派は日露戦争以来の伝統派閥
皇道派将校こそ陸軍の正統的後継者
荒木貞夫中尉の沙河会戦
皇道派の名将小畑敏四郎の「蛇頭打滅作戦」

第七章 皇道派と統制派の抗争
統制派と皇道派の国家改造論の相違
富国強兵の犠牲になった農村の窮乏
永田鉄山が真崎甚三郎の追い落としを策した陸軍士官学校事件
永田鉄山が一国国防主義の真崎甚三郎教育総監を罷免
永田死すとも日独軍事同盟を目指した永田構想は不死身だった

第八章 二・二六事件における統制派の完勝
二・二六事件
皇道派青年将校に理解を示した秩父宮
昭和天皇の断固鎮圧方針
昭和天皇の厳罰方針
皇道派が粛清される
決起将校の肉声
統制派の勝利の雄たけび
北一輝と西田税に死刑判決が下る
昭和天皇と決起将校磯田浅一
戦死を強要された第一師団(東京)の将兵
決起将校村中孝次の妻
磯部登美子が後世に伝えた『獄中手記』

主な参考文献
プロフィール

鈴木荘一(すずき・そういち)
近代史研究家。昭和23年生まれ。昭和46年東京大学経済学部卒業後、日本興業銀行にて審査、産業調査、融資、資金業務などに携わる。とくに企業審査、経済・産業調査に詳しく、その的確な分析力には定評がある。平成13年日本興業銀行を退社し、以後歴史研究に専念、「幕末史を見直す会」代表として、現代政治経済と歴史の融合的な研究や執筆活動などを行っている。
主な著書に、『明治維新の正体』(毎日ワンズ)、『日露戦争と日本人』(かんき出版)、『日本征服を狙ったアメリカのオレンジ計画と大正天皇』(かんき出版)、『アメリカの罠に嵌った太平洋戦争』(自由社)、『究極の敗戦利得者日本外務省が隠蔽する 満州建国の真実―軍事の天才石原莞爾の野望と挫折』『日中戦争はスターリンが仕組んだ』『幕末会津藩 松平容保の慟哭』『幕末の天才 徳川慶喜の孤独』『それでも東條英機は太平洋戦争を選んだ』『陸軍の横暴と闘った 西園寺公望の失意』『昭和の宰相 近衛文麿の悲劇』(勉誠出版)など。

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