三島は維新で滅んだ幕府親藩大名の末裔で、二・二六事件決起将校や特攻隊の霊が憑依したかのように『憂国』『英霊の聲』を書き、四十五歳で自決した。
満州事変が勃発すると陸軍中佐橋本欣五郎が若槻礼次郎首相を暗殺して陸軍政権を樹立しようと十月事件というクーデターを企図したが未遂に終わった。つぎに海軍青年将校が五・一五事件を起こし、海軍大将斎藤実を首相に据えて大海軍の建設を開始した。すると軍艦建造の財源を負担する農民の生活が圧迫され、農村の窮迫を憂いた陸軍青年将校が海軍大将斎藤実ら海軍要人を襲撃する二・二六事件を起こした。