正治・建仁期の新古今前夜における後鳥羽院歌壇の特色を示す重要作品2種、初の全注釈。本歌・語釈・歌意通釈・他集への入集状況を示し、それぞれの解題、初句索引を付した決定版。
※仙洞句題五十首(せんとうくだいごじっしゅ)
建仁元年(1201)年の後鳥羽院仙洞御所における和歌所再興まもなく、院により企画された歌合の一つ。後鳥羽院・良経・慈円・定家らが詠じ、上記四名に俊成・寂蓮を加え点者とした。『新古今和歌集』には十二首が選出され、新古今時代の歌風や歌壇状況を知る上での重要な資料である。
※水無瀬殿恋十五首歌合(みなせどのこいじゅうごしゅうたあわせ)
建仁二年(1202)年、後鳥羽院が水無瀬離宮にて催した歌合。作者は、後鳥羽院、良経、慈円、定家、家隆ら全十名。全百五十首中十五首が『新古今和歌集』に入集、うち六首が恋四の巻末三首と恋五の巻頭三首に配列されるなど、新古今的な秀歌を多く生み出した、極めてレベルの高い歌合の一つである。