司書課程に在籍し、司書資格の取得を目指す大学生と、それを志望する高校生は、非常に多く存在する。しかし、それら学生の大半は、司書をカウンターに座って本の貸し出しをするだけの「楽な仕事」、あるいは公務員としてある程度の収入を得られる「安定した仕事」だと考えている場合が多く、知力と体力とを駆使し、きわめて多忙をきわめる現実の業務については、なかなか想像がつかないようだ。要因のひとつとして、司書資格の入門書は大学の司書課程で学ぶ学生に向けた専門書が多く、一般向けの書籍があまり見受けられないことが挙げられる。
本書では、実際に司書として働いている方々を監修者として、通信課程を含む大学で司書課程の受講を考えている高校生、大学生、社会人の読者と、司書という仕事に興味を持っている読者とに向けて、司書が実際にどういう仕事をしているのかをストーリー形式でわかりやすく伝える1冊となっている。
(あらすじ)
公務員試験を突破して味岡市の職員に採用された稲嶺双葉(いなみね・ふたば)は、味岡市立図書館で司書として勤務していた。
図書館には様々な雇用形態が有り、専従職員として働けることが如何に幸運なことなのかを知る。
「狭き門」をくぐり抜け図書館員になれる人数は年々少なくなっている。
図書館での多岐に亘る仕事から、実際に働く司書の姿が見えてくる……。