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ナチズムとホロコーストに関する実証研究は、ここ三十年で長足の進歩を遂げた。本巻では、その豊穣な成果を踏まえながら、ナチズムと両義的近代との関係、「民族共同体」の様態、レーベンスラウムや民族再生の含意、さらにポーランド、スイスの動きなど近年の歴史学が提示する最新の論点を取り上げる。そして戦後ドイツ、すなわちナチズム後のドイツが「負の過去」とどのように取り組んできたか、司法訴追、補償、想起の文化などに注目して多面的に検討する。
石田勇治(いしだ・ゆうじ)1957年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科(地域文化研究専攻)教授。専門はドイツ近現代史、ジェノサイド研究。主な著書にJungkonservative in der Weimarer Republik. Der Ring-Kreis 1928-1933, Frankfurt am Main 1988、『ヒトラーとナチ・ドイツ』(講談社現代新書、2015年)、『過去の克服―ヒトラー後のドイツ(新装版)』(白水社、2014年)、『20世紀ドイツ史』(白水社、2005年)、共編著に『ジェノサイドと現代世界』(勉誠出版、2011年)など。川喜田敦子(かわきた・あつこ)東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門はドイツ現代史、ドイツ地域研究。主な著書に『東欧からのドイツ人の「追放」 二〇世紀の住民移動の歴史のなかで』(白水社、2019年)、『ドイツの歴史教育』(白水社、2005年)、共著に『図説ドイツの歴史』(河出書房新社、2007年)、共編著に『歴史としてのレジリエンス 戦争・独立・災害』(京都大学学術出版会、2016年)、訳書にイアン・カーショー著『ヒトラー 上 1889-1936 傲慢』(白水社、2015年)など。
★書評・紹介★「西洋史学」274号(2022年12月30日)に書評が掲載されました。 →評者:高橋秀寿氏(立命館大学教授)