アジア遊学296
テンモンブンカガクノシテン

天文文化学の視点

星を軸に文化を語る
松浦清・真貝寿明 編
ISBN 978-4-585-32542-0 Cコード 1344
刊行年月 2024年10月 判型・製本 A5判・並製 320 頁
キーワード 美術,文化史,思想,古典

定価:3,850円
(本体 3,500円) ポイント:105pt

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書籍の詳細

天文現象は古代より人々の生活や文化活動に密接に関わり、文学や美術に広く取り入れられるとともに、現代科学の発端ともなった。
古典籍・美術品・工芸品・遺跡・数式等の中には天文に関わる多様な表現がみられ、それらはさまざまな角度から考察することができる。
銅鏡の文様に見られる古代中国の宇宙観とは?
浦島太郎のタイムトラベルの理論物理学的な可能性とは?
一条兼良はどのような星空を見ていたのか?
沖縄に伝わる神歌に歌われた星に、人々は何を託していたのか?
絵画・文学作品、信仰・思想、民俗、実際の天体現象など、様々な視点から、文化史と科学論を統合して自然観を考察する。
細分化され過ぎた現在の学問を新たに捉え直し、総体としての知を確立する挑戦!

 

 

目次
序 「天文文化学」という複合領域を楽しむために 松浦清

I 絵画・文学作品にみる天文文化
原在明《山上月食図》(個人蔵)の画題について 松浦清
一条兼良がみた星空―『花鳥余情』における「彦星」「天狗星」注をめぐって 横山恵理
「軌道」の語史―江戸時代末以降を中心に 米田達郎
[コラム] 星の美を詠む 横山恵理
[コラム]明治初頭の啓蒙書ブーム「窮理熱」と『滑稽窮理 臍の西国』 真貝寿明

II 信仰・思想にみる天文文化
銅鏡の文様に見られる古代中国の宇宙観―記紀神話への受容とからめて 西村昌能
天の河の機能としての二重性―境界と通路、死と復活・生成、敵対と恋愛の舞台 勝俣隆
南方熊楠のミクロコスモスとマクロコスモス― 南方曼荼羅の世界観 井村誠
[コラム]天文学者は星を知らない 真貝寿明

III 民俗にみる天文文化
奄美与論島における十五夜の盗みの現代的変容をめぐる一考察 澤田幸輝
[コラム]三日月の傾きと農業予測―鹿児島県与論島のマクマを事例に 澤田幸輝
天文文化学から与那覇勢頭豊見親のにーりを考える 北尾浩一

IV 中世以前の天体現象と天文文化
天命思想の受容による飛鳥時代の変革―北極星による古代の正方位測量法 竹迫忍
惑星集合と中国古代王朝の開始年についての考察 作花一志
[コラム]星の数、銀河の数 真貝寿明
丹後に伝わる浦島伝説とそのタイムトラベルの検討 真貝寿明

V 近世以降の天体現象と天文文化
1861 年テバット彗星の位置測量精度―土御門家と間家の測量比較を中心に 北井礼三郎・玉澤春史・岩橋清美
日本に伝わった古世界地図と星図の系譜 真貝寿明

あとがき 天文文化学を進める上で見えてきたもの―理系出身者の視点から 真貝寿明
プロフィール

松浦清(まつうら・きよし)
大阪工業大学工学部教授。常翔歴史館館長。
専門は仏教美術史、星曼荼羅を中心とする星辰絵画。
主な著書・論文に「星曼荼羅の成立とホロスコープ占星術―円形式の構成原理を中心に」(『密教美術と歴史文化』法蔵館、2011年)、「星曼荼羅の構成原理と成立について」(『仏教美術論集2 図像学―イメージの成立と伝承(密教・垂迹)』竹林舎、2012年)、『天文文化学序説―分野横断的にみる歴史と科学』(共編、思文閣出版、2021年)などがある。

真貝寿明(しんかい・ひさあき)
大阪工業大学情報科学部教授。
専門は理論物理学、天文文化学。
主な著書に『ブラックホール・膨張宇宙・重力波』(光文社、2015年)『日常の「なぜ」に答える物理学』(森北出版、2015年)、『現代物理学が描く宇宙論』(共立出版、2018年)、『宇宙検閲官仮説』(講談社、2023年)などがある。

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