アジア遊学143
カンキョウトイウシザ

環境という視座

日本文学とエコクリティシズム
渡辺憲司/野田研一/小峯和明/ハルオ・シラネ 編
ISBN 978-4-585-22609-3 Cコード 1391
刊行年月 2011年7月 判型・製本 A5判・並製 240 頁
キーワード 環境,思想,比較文学,近現代

定価:2,640円
(本体 2,400円) ポイント:72pt

 品切 
書籍の詳細
日本人は、自然をどのように捉え、共生してきたのか?

自然環境を日本文学はいかに表象してきたのか。それは花鳥風月に極まるのか。それとも、多様性、多層性に満ちているのか。
四季と風景として分節され、高度に記号化された二次的自然表象の世界。それを脱構築する野生と他者性のまなざし。自然環境へのまなざしの根底にある心性を歴史的に再照射し、人間中心の自然/環境理解から有機的な相互性の課題へと向かう。
日本における新たな環境文化論の定立をめざす試み。

 

 

目次
序言 野田研一

鼎談 エコクリティシズムの可能性をめぐって 小峯和明 ハルオ・シラネ 渡辺憲司 (司会)野田研一

Ⅰ 二次自然と野生の自然
 【総説】二次自然と野生の自然 野田研一
 南方熊楠と熊野世界 小峯和明
 東京湾人工島13号埋立地の空虚―日野啓三『夢の島』とポスト・モダン美学 佐藤 泉
 中世和歌に於ける二次的自然と野生的自然―西行・寂然の「山里」贈答歌を中心に ジャック・ストーンマン
 〈負債〉の表現 北條勝貴
 環境文学と観光のまなざし―ボルネオの「秘密の花園」 舛谷鋭
 (コラム)萬葉集巻十の寄物詠における自然と想像力の問題について 柴山紗惠子

Ⅱ 自然描写の近代と前近代
 【総説】自然描写の近代と前近代 藤井淑禎
 日本文学における主体性―他者性としての「自然」 天満尚仁
 〈美しい故郷〉の描き方―一八九〇~一九〇〇年代の美文流行現象における出郷物語とレトリック 北川扶生子
 地方/自然としての〈日本〉―昭和初期の民謡・映画を中心として 若松伸哉
 (コラム)蔵書印のゾウ 丹羽みさと

Ⅲ 文化表象としての環境
 【総説】文化表象としての環境―見えないものへの視座 渡辺憲司
 旅、自伝、経験―阿仏尼の日記をめぐって クリスティーナ・ラフィン
 徳川時代の思想における自然の商品化 ピーター・フルキッガー
 琉球遊女が眺めた庭の風景―平敷屋朝敏「苔のした」における植物表現 照沼麻衣子
 捕物帳と環境─半七捕物帳「奥女中」を例として 浜田雄介
 意味の切断面―「積極的消極空間」、そしてマンガの「空」 中村優子
 (コラム)『苦海浄土』にみる汚染と食の言説 結城正美

Ⅳ 中央と周辺
 【総説】エコクリティシズムという幻影―シンポジウムを終えて 篠原進
 『奥の細道』に探る東国の歴史―「室の八島」を中心に 加藤定彦
 京伝・馬琴作品における辺境―外が浜と鬼界島 大屋多詠子
 露伴の都市計画論が現代に問いかけるもの 安原真琴
 日本橋の夢 小林実
 エコクリティシズムの対照的方法―保田與重郎の自然観と辻野久憲の自然観 ケヴィン・M・ドーク
 (コラム)村上春樹『1Q84』の中のコミューン 藤井貴志

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