テーマで読む源氏物語論3
レキシブンカトノコウサ カタリテ カキテ サクシャ

歴史・文化との交差/語り手・書き手・作者

今西祐一郎・室伏信助 監修/上原作和・陣野英則 編
ISBN 978-4-585-03188-8 Cコード 1395
刊行年月 2008年10月 判型・製本 A5判・上製 724 頁
キーワード 中古,古典,評論

定価:13,200円
(本体 12,000円) ポイント:360pt

 品切 
書籍の詳細

時を隔ててもなお読まれるべき、重要な論文を大胆に収録。
各巻ごとに全体の「総説」、各論文を読み解く「解説」及び「研究史の総括と展望」を附し、これまでの研究成果を整理、今後の新たな展望を示す。

第3巻では、『源氏物語』生成の問題を外在/内在的視点から読み解く。

第1部 歴史・文化との交差
世界に存在するすべての文学や文化は、人間の産んだ歴史的創造物に他ならない。とりわけ、『源氏物語』を生成した歴史と文化的背景について論ずる方法は多様であり、「絵巻」を通した絵画的視点、音楽伝承譚の史的基層、海彼の世界的ベストセラー『白氏文集』の内在化も重要である。つまり、『源氏物語』の〈歴史的文脈〉に対して、同時代の史実・文化との交差の測定は喫緊の課題なのである。      

第2部 語り手・書き手・作者
『源氏物語』を生成する主体について、かつては一律に「作者」と呼んで済ませていたが、今日の議論では「語り手」「書き手」「編纂者」「表現主体」「話者」「物語作家」「〈紫式部〉」等々、さまざまな概念が飛びかう。「書写者」の存在も看過しがたい。また「語り」の文学などといわれたりもした『源氏物語』だが、実は「書く」こと、エクリチュールについての徹底的な思考を要請する文学でもあろう。          

 

 

目次
◎総説―松井健児

第1部 歴史・文化との交差

「おの宮」考/小松登美  
若紫巻の背景―「北山」考(一)/今西祐一郎
光源氏の官職―栄進の独自性と歴史認識/藤本勝義 
『河海抄』の光源氏/吉森佳奈子  
『源氏物語』と文化史Ⅱ/中村義雄 
一夫一妻制としての平安文学―『かげろふ日記』と『源氏物語』/ 工藤重矩
最初の死、心の軌跡/塚原明弘 
「橋姫」の段の多層的時間―物語の《記憶》をめぐって/河添房江
音楽伝承譚の系譜―『源氏物語』明石一族から『夜の寝覚』へ/坂本信道
日本文学史における『白氏文集』と『源氏物語』/藤原克己 

◎総括と展望
歴史と文化の結節点としての『源氏物語』/上原作和

第2部 語り手・書き手・作者

源氏物語の荷ひ手/益田勝実  
源氏物語の読者―物語音読論/玉上琢彌  
ものがたり―源氏物語/渡辺 実  
源氏物語の文章/根来 司  
物語と〈書くこと〉―物語文学の意味作用あるいは不在の文学/三谷邦明
物語の〈語り〉と〈書く〉こと/橋 亨  
二段構叙述/山本利達  
物語と老い―源氏物語をひらくもの/永井和子
仮名文の構文原理/小松英雄  
源氏物語の文体形成―仮名消息と仮名文の表記/池田和臣
『源氏物語』のパラテクスト/安藤 徹

◎総括と展望
〈語り〉論からの離脱/陣野英則

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