文化財を見る目が変わる――
文化財に対する倫理を初歩から教え説き「礼・節・技」を知る、新たな学問「文化財教育学」の提唱
博物館に関わり、歴史遺産を愛するすべての人がとりくむべき問題をわかりやすく考察する、練達の博物館人による新領域への入門書
本書は、文化財を守ることの意味を考え直し、今日の私たちが、未来の私たちに、何を、どう遺すのかを論じている。その中心になるキーワードが「文化財」と「教育」である。
文化財を守っていくことは、単に保存施設に隠しておくことではない。そこには、哲学が不可欠であり、特別な保護政策が必要なのである。これは、日本が取り組まなければならない未来への宿題のひとつである。しかし、それ以上に重要なのは、一人ひとりの倫理観なのだと思う。倫理教育の欠如した日本には未来がない。その未来を、今取り戻しておかなければならないのだ。そのためには、時間のかかる教育を惜しんではならない。
※書評掲載
月刊ミュゼ(2006.3.15号)「Muse’s Book」欄に紹介されました。