日本中世史研究の業績で知られ、独自の史観を確立して戦前から戦中にかけて東京帝国大学文学部国史学科教授として多くの子弟を育てた平泉澄。戦後の恬淡とした境地をつたえる、その嘉言に満ちた珠玉の文章を読み直す。
古典に通暁し深い学識を有する著者が、歴史・外交・教育・環境など、日常の出来事に対して歴史家の視点から解りやすい短文の形で、その見方や考え方を示す。人が生きるうえでの糧ともいうべき事柄を極めて平易に説いた文章が、深い道理を含んで我々の心に迫る。
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平泉澄(ひらいずみ・きよし)
一八九五年〜一九八四年。日本の歴史学者。文学博士。白山神社名誉宮司。「青々塾」主宰。戦前戦中、東京帝国大学教授として、いわゆる皇国史観の提唱者とされる。著書に『中世に於ける社寺と社会との関係』、『少年日本史』などがある。