ダイチボシントエンノギョウジャ

大地母神と役行者

神々の原風景を描く『八犬伝』
諏訪春雄 著
ISBN 978-4-585-29031-5 Cコード 1091
刊行年月 2012年4月 判型・製本 四六判・並製 208 頁
キーワード 民俗学,江戸,近世

定価:1,980円
(本体 1,800円) ポイント:54pt

 品切 
書籍の詳細
『南総里見八犬伝』を多神教的視点で読み直し、古典文学の再評価を試みる

『南総里見八犬伝』は合理主義的読み方をゆるさない複雑な作品であり、馬琴のしかけた意図の奥には、馬琴すら意識していなかった第二の深層がある。
本書は、この深層を「女神と男神対立・拮抗、融和」「神仏と人の循環」の2つの中心テーマで読み解く。

 

 

目次
はじめに

Ⅰ 世界宗教における女神
踏みつけられた女神/支配下に入った女神

Ⅱ 男神と対抗する女神伏姫
作品は作者を超える/伏姫の正体/伏姫は地母神の人格化である/犬江親兵衛の神隠し

Ⅲ 『八犬伝』世界を支配する男神
最高神役行者/修験道の開祖/忌避された日光修験/八字の玉をもつ八犬士が出現する/八人の勇士はなぜ犬なのか/犬は役行者の使神/犬士はなぜ八人なのか

Ⅳ 大先達丶大
丶大は仏教僧か山伏か/天仙となった丶大/亡霊と窮民救済の水陸道場施餓鬼/道場とは何か―中国の実例/亡魂済度の水陸会

Ⅴ 御霊神玉梓
玉梓の怨念/作品世界を動かす玉梓の死霊/怨念の射程距離/正体は御霊神/怨念の完全消滅/『八犬伝』からの問いかけ

Ⅵ 日本人の大地母神信仰
伏姫の文化/日本人の地獄/修験道と山の女神/山の神の性別

Ⅶ 女神が守護する国
王権と女性―巫女王・采女/首里城の秘密/琉球王権の苦心/天帝との一体化が家康の夢か/信長・秀吉・家康、それぞれの見た夢

Ⅷ 日本人の家
家は神の住むところ/高床式と大黒柱/書院造りと男性原理/家の表と裏

Ⅸ 神と人の循環・交流
『八犬伝』のキャラクター/中国神仙譚の下凡構造/神仙譚の侵食―古浄瑠璃『楊貴妃物語』/韓国の本解(ポンプリ)/道教における神仙思想と玉皇

Ⅹ 日本人が生み出した本地垂迹思想
中国の人神/中韓における神と仏の関係/釈迦と老子そして関羽/中世神道と本地垂迹思想/本地垂迹思想を生んだシャーマニズム

結び

あとがき

主要参考文献

図版目録
プロフィール

諏訪春雄(すわ・はるお)
学習院大学名誉教授。文学博士。
主要著書に、『日本王権神話と中国南方神話』(角川書店、2005年)、『文明の錯誤を正す新家族論』(勉誠出版、2007年)、『天皇と女性霊力』(新典社、2008年)、『大地 女性 太陽 三語で解く日本人論』(勉誠出版、2009年)、『鶴屋南北』(山川出版社、2010年)、『霊魂の文化誌』(勉誠出版、2010年)他多数あり。

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