ワタクシショウセツノギホウ

私小説の技法

「私」語りの百年史
梅澤亜由美 著
ISBN 978-4-585-29048-3 Cコード 1095
刊行年月 2012年12月 判型・製本 A5判・上製 352 頁
キーワード 評論,近現代

定価:3,960円
(本体 3,600円) ポイント:108pt

 品切 
書籍の詳細
「私」という「自我」の自覚によってはじまった日本近代文学。その「私」にこだわることにどんな意味があるのか―

田山花袋『蒲団』(1907)から小島信夫『各務原 名古屋 国立』(2002)まで、〈私小説〉の100年を辿り、成立と変遷、そして今後の可能性を提示する。
認識する/される「私」から生まれる作品群を、「私探究」の文学として捉え直し、従来とは異なる観点から考察する。新しい「私小説」のためのガイドブック!

 

 

目次
はじめに

序章 私小説における「私」の問題

第一部 語りだされる「私」
 1章 田山花袋『蒲団』(1907)―二つの「私」の「物語」
 2章 武者小路實篤『お目出たき人』(1911)―〈お目出たき人〉という宣言
 3章 葛西善蔵『哀しき父』(1912)~『酔狂者の独白』(1927)―〈自分を失ふ〉ことへの恐れ

第二部 変化する「私」
 4章 志賀直哉『和解』(1917)―「書く私」「書かれる私」を貫くもの
 5章 徳田秋聲『仮装人物』(1935~1938)―〈自分の殻〉を破ること

第三部 語り直される「私」
 6章 平林たい子『施療室にて』(1927)/『一人行く』(1946)―〈柔らか〉な社会主義者
 7章 島尾敏雄『夢の中での日常』(1948)―もう一つの「世界」での自我イメージ

第四部 創られる「私」
 8章 藤枝静男『空気頭』(1952・1967)―〈尾のない輪のようなもの〉として
 9章 大庭みな子『オレゴン夢十夜』(1980)―〈寂兮寥兮〉に向かって
 10章 小島信夫『各務原 名古屋 国立』(2002)―「私」表現の可能性と不可能性

第五部 韓国における「私」
 11章 李良枝『ナビ・タリョン』(1982)~『由煕』(1988)―課せられた「私」を越えて
 12章 申京淑『離れ部屋』(1995)―〈わたしたち〉のことを伝えるために

終章 「私」問題の普遍性

参考文献
初出一覧

あとがき

人名・事項索引
作品名索引
プロフィール

梅澤亜由美(うめざわ・あゆみ)
法政大学大学院人文科学研究科日本文学専攻・博士後期過程単位修得満期退学。博士(文学)。現在、法政大学文学部・兼任勤講師。『私小説研究』第1~10号の編集を担当。
主な論文に、「網野菊・方法としての「藪の中」」(『国文学解釈と教材の研究』第76巻6号、2011年)、訳書に、安英姫著・梅澤亜由美訳『韓国から見る日本の私小説』(鼎書房、2011年)、監修に、『日本文学研究文献要覧2005~2009』(勝又浩との共同監修、日外アソシエーツ、2010年)などがある。

書評・関連書等

「日本近代文学」第89集にて、本書の書評が掲載されました。

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