なぜ人間は異界を語るのか
国境を超え時間的制約を逃れ、人間の日常および精神生活の裏、奥、外に必要不可欠な空間領域として想像される「異界」― the other world ―。
その諸相を、グリム童話から日本の民話、ドイツ・中国・日本における文学・音楽・絵画表象、言語学からコミュニケーション研究に至るまで、空間、時間、学術分野の境界を超え、「超域」的に考察する。洋の東西を問わず、古代から現代に至るまで、人間の精神文化のなかに表現やかたちを変えながら遍在する「異なるもの」の多面的価値を浮き彫りにする。