年画は部屋に貼り、新年を祝い楽しむ印刷物。ここには幸福や豊かさを求める庶民の夢や願望が描かれている。中華の伝統文化と価値観・思想が凝縮され、幅広い階層に親しまれている。大衆の文化・娯楽として見過ごされてきた周縁の藝術、中国木版年画の魅力を、約一五〇点のフルカラー図版と絵解きで伝える。
◎「年画(ねんが)」とは・・・
新年を祝って室内に飾る絵(画)。多くのばあいは紙一枚で、部屋の装飾として壁に貼られ、来る年の佳きことを祈る。吉祥を祈願する画であり、見て楽しむ画、さらに子女を教育する画として、富裕層から庶民まで、幅広く親しまれている。清末に西洋の近代印刷技術が入ってくるまでは、紙に印刷(木版刷り)したものを鮮やかに彩色した木版年画が多く作られた。
◎民衆娯楽である芝居や、『三国志演義』『封神演義』『白蛇伝』などの古典文学に現れる人物やストーリーを画題としたもの、人々の願望を画に表したものなど、多様な年画の世界を楽しむことができる。
◎中国古典文学の研究者や中国美術の研究者による詳細な解説により、専門的知識を深めるとともに、絵解きも楽しめる。
◎早稲田大学中央図書館収蔵の中国民間版画から、「年画」を選んで一冊にした。これらの年画は現在は制作されておらず、中国でも貴重な作品群である。精緻なフルカラー印刷で、制作当時の社会の雰囲気までも再現した。