「正治百首」は、正治2年(1200)に後鳥羽院によって下命された百首和歌で、初度と後度の2首がある。
初度は23人、後度は11人の歌人が百首歌を詠進し、後の『新古今和歌集』の選集資料となった。
また、後鳥羽院の和歌的出発・後鳥羽院と歌人定家の出会い・御子左家の歌壇制圧等、新古今期の和歌研究上極めて重要な作品である。
しかしながら、この作品を取り上げて一書として刊行されたものは未だかつてなく、本文研究さえ提供されていないのが現状である。
「正治百首」の基礎的研究を公にすることは、新古今期の和歌研究に一層の便宜と進展を促すことになろう。