アジア遊学197
ニホンブンガクノナカノチュウゴク

日本文学のなかの〈中国〉

李銘敬・小峯和明 編
ISBN 978-4-585-22663-5 Cコード 1395
刊行年月 2016年6月 判型・製本 A5判・並製 304 頁
キーワード 比較文学,説話,古典,東アジア,平安,中古

定価:3,080円
(本体 2,800円) ポイント:84pt

数量 :
remove add
書籍の詳細
日本古典文学が創造した、その想像力の源流へ―

日本の様々な物語・説話を読み解いていくと、〈中国〉という滔々たる水脈に行き当たる。
その源流を探ることで、日本の古典から近現代文学にまで通底する思潮が見えてくるのではないか。
本書では従来の和漢比較文学研究にとどまらず、宗教儀礼や絵画など多面的なメディアや和漢の言語認識の研究から、漢字漢文文化が日本ひいては東アジア全域の文化形成に果たした役割を明らかにする。

 

 

目次
序言 中国・日本文学研究の現在に寄せて 李銘敬・小峯和明

Ⅰ 日本文学と中国文学のあいだ
巻頭エッセイ◎日本文学のなかの〈中国〉―人民大学の窓から 小峯和明
『今昔物語集』の宋代序説 荒木浩
かいまみの文学史―平安物語と唐代伝奇のあいだ 李宇玲
『浜松中納言物語』における「唐土」―知識(knowledge)と想像(imagine)のあいだ 丁莉
樹上法師像の系譜―鳥窠禅師伝から『徒然草』へ 陸晩霞

Ⅱ 和漢比較研究の現在
『杜家立成』における俗字の世界とその影響 馬駿
対策文における儒教的な宇宙観―桓武天皇の治世との関わりから 尤海燕
七夕歌の発生―人麻呂歌集七夕歌の再考 何衛紅
『源氏物語』松風巻の明石君と七夕伝説再考 於国瑛
『源氏物語』写本の伝承と「列帖装」―書誌学の視点から考える 唐暁可
『蒙求和歌』の増補について 趙力偉
コラム◎嫡母と継母―日本の「まま子」譚を考えるために 張龍妹

Ⅲ 東アジアの文学圏
日本古代僧侶の祈雨と長安青龍寺―円珍「青龍寺降雨説話」の成立背景を考える 高兵兵
長安・大興善寺という磁場―日本僧と新羅僧たちの長安・異文化交流の文学史をめざして 小峯和明
『大唐西域記』と金沢文庫保管の説草『西域記伝抄』 高陽
『三国伝記』における『三宝感応要略録』の出典研究をめぐって 李銘敬
虎関師錬の『済北詩話』について 胡 照汀
コラム◎『源氏物語』古注釈書が引く漢籍由来の金言成句 河野貴美子

Ⅳ 越境する文学
東アジアの入唐説話にみる対中国意識―吉備真備・阿倍仲麻呂と崔致遠を中心に 金英順
『伽婢子』における時代的背景と舞台の設定に関して
―『剪灯新話』の受容という視点から 蒋雲斗
「樊噲」という形象 周以量
「国亡びて生活あり」―長谷川如是閑の中国観察  銭昕怡
越境する「大衆文学」の力―中国における松本清張文学の受容について 王成
コラム◎遭遇と対話―境界で/境界から 竹村信治
プロフィール

李銘敬(り・めいけい)
中国人民大学教授。文学博士。専門は日本中古中世説話文学・中日仏教文学。
主な著書・論文に『日本仏教説話集の源流』(勉誠出版、2007年)、「日本古典文芸にみる玄奘三蔵の渡天説話」(『東アジアにおける旅の表象』アジア遊学182、2015年)などがある。

小峯和明(こみね・かずあき)
中国人民大学講座教授、立教大学名誉教授。文学博士。専門は日本中世文学、東アジアの比較説話。
主な著書に『中世日本の予言書―〈未来記〉を読む』(岩波新書、2007年)、『中世法会文芸論』(笠間書院、2009年)、編著に『〈予言文学〉の世界―過去と未来を繋ぐ言説』(アジア遊学159号、勉誠出版、2012年)などがある。

関連商品

この商品をお求めのお客様はこんな商品もお求めです。

おすすめ

  [詳細]
図書館員をめざす人へ 増補改訂版

図書館員をめざす人へ 増補改訂版

後藤敏行 著
定価:2,640円
(本体 2,400円)
ハナシ語りの民俗誌

ハナシ語りの民俗誌

川島秀一 著
定価:3,520円
(本体 3,200円)
デジタル時代のコレクション論

デジタル時代のコレクション論

中村覚・逢坂裕紀子 責任編集
定価:3,850円
(本体 3,500円)
新装版 正訳 紫式部日記 本文対照

新装版 正訳 紫式部日記 本文対照

中野幸一 訳
定価:2,420円
(本体 2,200円)
ショッピングカート