本書は密閉型槨墓と開通型室墓の構造原理や前者から後者への変遷過程を発掘資料に基づいて詳細に考察し,埋葬施設における変化のメカニズムを考古学的研究によって明らかにした。それに副葬品の組成と配置,墓から出土した絵画・文字資料の検討をも加え,宗廟祭祀から墳墓祭祀への具体的な様相について,初めて体系的研究を行なったものである。本書で示した分析視覚は,朝鮮半島や日本の古墳研究においても適応可能で,東アジア古代墓制の研究に共通の土台を築いた上で,東アジア文化圏における古代葬制研究の進展をはかる話題作である。