奔馬、駆けやまず―
昭和という時代と格闘しつづけた伝説の男、再び
「田中清玄自伝」を世に問うて20年余、気鋭のライターが今度は「評伝」に描く、「昭和の志士」。
影のフィクサーと呼ばれた男が、どう生まれ、どう育ったのか。何が彼を戦前の武装共産党委員長にし、獄中転向させたのか。
反共主義者としての戦い、昭和天皇との邂逅、スハルトら国際石油人脈の形成、鄧小平、オットー大公との親交。
今の時代にはないスケールを持った生き様とその背景を、関係者の膨大な証言から丁寧に再構成した物語。
*田中清玄(たなか・せいげん)(1906-1993年)
北海道生まれ。1927年、東大在学中に共産党に入党。30年の再建大会で書記長となり、武装共産党を指導する。
34年に転向し、戦後は「大物フィクサー」として、石油事業や電気事業で辣腕をふるい、日本国内はもとより、中東やインドネシア、中国など国内外で活躍した。