本書は情報検索の実用書でも理論書でもない。どちらかといえば理論書に近いが、具体的な理論を解説したものではない。文字どおり「情報検索の考え方」を考察したものである。
検索というと図書館の本の検索を思い浮かべるかもしれないが、これだけが検索ではない。また一般に、情報検索とは、「情報」の検索と考えられている。しかし、情報とは、人がなにかを見たり聞いたりして知識状態が変化したときに、その変化分を指すことばである。あらかじめどこかに存在しているものではない。存在しないものを検索することはできない。では、情報検索とはなにを検索するものであろうか。
こうした考察をふまえて、情報検索システムはどうあるべきか、若干の検討を試みたものである。