カートは空です。
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荷風は、漱石や鴎外に比して研究者の熱い眼差しを捉え損なっている。人間存在や愛などの認識の深さを解剖できる作家を扱う傾向がある近代文学研究は、美そのものを語る文体をもっていないために、荷風の美の神髄に上手く手が届かないのかもしれない。本書は、明治文明批判・江戸文化鼓吹・父子の相克など認識の対象にされやすいテーマから脱却し、荷風文学と音楽の結び目などを中心に新しい荷風論を展開する。