人間らしい行き方や死に方を求める声に、仏教はどう応えられるか。
医療の進歩が死の予告を可能とし、高齢化少子化が進むとともに、誰しもが自分の「死」を考えざるをえなくなった。都市部における墓地不足とも絡み、葬儀・墓地への関心が高まり、生前契約・生前葬・合葬墓・散骨・宇宙葬など新しいサービスがジャーナリズムの話題を賑わすようになってきた。
こうした中、人々の「人間らしい生き方・死に方」を見極めたいという欲求は留まるところを知らず、各宗派の教義を解説したり、葬儀について詳解する書籍の需要が増加している。
宗教の機能には「教団維持の機能」と「精神界をリードする機能」とがある。現代はあまりにも前者、すなわち教団維持の機能に強調をおき過ぎている。もっと精神界をリードする機能に重点を置いてもらいたいという願いが巷に充満していることを知らなければならない。
本書はそんな要望の声に後押しされて出版が企画された。本書は決して危機感を煽るものではない。仏教界が置かれた状況をグローバルにとらえて、これからの仏教はどのようにあるべきかの叩き台を提供するものである。