■編集方針
◇本集は、九曜文庫の所蔵する源氏物語関係の文献資料の中から、注釈や享受資料など、十九点を選択し、これらを十二巻にまとめて影印刊行する。
◇文献の選択に際しては、源氏物語研究の基盤たるべく学術的に価値あるものを中心とした。
◇解説は、書誌的解題を旨としたが、必要に応じて資料の特質・価値などにも言及した。
■本集の特色
◇源氏物語の研究史・享受史を彩る典籍の一大宝庫「九曜文庫」より、新資料・稀覯本を含む貴重な文献資料を公開。
◇古注・梗概・評論・絵入り本など、源氏物語享受の様相を伝える基礎資料を幅広く収載。
◇源氏物語をはじめとする国語国文学の研究者や愛好家はもとより、研究室・図書室に必備の基礎資料集成。
源氏薫香考
【仮袋綴装大本一冊藤原明恒著】
『源氏物語』の薫香についてまとめた江戸期唯一の研究書。文化十五年二月成立。伝本は狩野文庫(東北大学図書館)に著者原本がある。本書は現存唯一の写本で関根只誠の自筆本。
源氏雨夜立聞
【袋綴装大本一冊井上好春著】
『源氏物語』「帚木」の巻の雨夜の品定めの段のみの注釈書。文政五年七月成立。伝本は他に桃園文庫本(東海大学図書館)のみの稀覯本。
雨夜滴
【仮袋綴装中本一冊山口安良著】
右書と同じく『源氏物語』「帚木」の巻の雨夜の品定めの段の注釈。天保十年九月成立。伝本は他に桃園文庫本があるが、本書は著者自筆の草稿本か。
すみれ草
【袋綴装大本三冊北村久備著】
上巻と中巻は『源氏物語』の系図、下巻は年立。文化九年成立。本居宣長が『玉の小櫛』で為し得なかった系図に、年立を加えたもの。