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長きにわたってその存在を無視されてきた「中世往生伝」。しかし、法然浄土門徒が創出し編纂した往生伝は、間違いなく存在していた。宗教思想の一大変転期であった中世に成立した「中世往生伝」の存在意義を思想史上に明確に位置づけ、浄土往生思想を中軸に据えて著された中世の諸作品を「中世往生伝類」という幅広いとらえ方をすることで、中世の人々が認識していた往生伝の実像に迫る。
谷山俊英(たにやま・としひで)立正大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程研究指導修了退学。現在、都立武蔵高等学校主任教諭・立正大学文学部非常勤講師(兼職)。主な編著書・論文に、「日蓮の生涯―「旃陀羅」から「上行菩薩」へ―」(特集「仏教・知と言葉と」『国文学』第41巻8号、学燈社)、「中世における浄土宗の宣教活動と僧伝(往生伝)の形成―法然門における往生伝形成の一側面―」(論文・シンポジウム、『佛教文学』第25号)、『日本古典文学研究史大事典』(分担執筆、勉誠社)、『古典文学鑑賞辞典』(分担執筆、東京堂出版)、『日本説話伝説大事典』(分担執筆、勉誠出版)、『日本の名著 3分間読書100』(分担執筆、海竜社)、『天皇皇族歴史伝説大事典』(分担執筆、勉誠出版)、『社寺縁起伝説辞典』(分担執筆、戎光祥出版)などがある。