西大寺創建の理念と実像を諸史料より明らかにする
天平宝字8年(764)9月、称徳天皇の発願により造営された勅願寺、西大寺。
同寺は東大寺に匹敵する大寺として広大な寺地を有したが、平安時代に衰微、現在見られる姿は、鎌倉時代に叡尊により復興された姿である。
この再建後の西大寺については、これまで多数の研究が重ねられてきたが、西大寺の創建時の実像については、その史料的制約からかこれまであまり解明が進んでこなかった。
本書では、『西大寺資財流記帳』や『続日本紀』などの諸史料を手掛かりに、西大寺の造営事業のあり方、伽藍配置や仏像の問題などを明らかにし、創建時の西大寺を当時の文化・社会・宗教の動向のなかに浮かび上がらせる。