アジア遊学195
モウヒトツノニホンブンガクシ

もう一つの日本文学史

室町・性愛・時間
国文学研究資料館 編
ISBN 978-4-585-22661-1 Cコード 1391
刊行年月 2016年3月 判型・製本 A5判・並製 288 頁
キーワード 美術,古典,明治,江戸,室町,近代,近世,中世

定価:3,080円
(本体 2,800円) ポイント:84pt

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書籍の詳細
文学史の間隙を埋める

室町―長らく「文化不毛」と評されてきたこの時代は、研究の飛躍的な進展により、豊饒な広がりをもつことが明らかになってきた。
女・語り・占いというキーワードから、皮膜に覆われていた室町の庶民文化像を炙り出す。
性愛―「性」をめぐる問題は、長らく文学史から忌避されてきた。人間存在の根源的なテーマであるにもかかわらず・・・。
社会・思想・文化が交差する結節点として「性」の問題を捉えかえし、江戸期のジェンダーの多様性、春画・春本の歴史的・文化的位置を提示する。
時間―「時(とき)」という概念がいかにして文学のなかに描かれるようになったのか。
人の紡ぐ物語には常に時が伴われる。このテーマのみでも文学史を描くべき題材であろう。
コトバと時間にまつわる様々な諸相から、人が「時」をどのように操ってきたのか、その歴史の断片をかいま見る。

 

 

目次
序文 伊藤鉄也

第一部 もう一つの室町―女・語り・占い
 [イントロダクション]もう一つの室町─女・語り・占い 小林健二
 「占や算」─中世末期の占いの諸相 マティアス・ハイエク
 コラム:室町時代の和歌占い―託宣・呪歌・歌占 平野多恵
 物語草子と尼僧―もう一つの熊野の物語をめぐって 恋田知子
 女性・語り・救済と中世のコスモロジー―東西の視点から ハルオ・シラネ
 コラム:江戸時代の絵画に描かれた加藤清正の虎狩 崔京国

第二部 男たちの性愛―春本と春画と
 [イントロダクション]男たちの性愛─春本と春画と 神作研一
 若衆―もう一つのジェンダー ジョシュア・モストウ
 西鶴晩年の好色物における「男」の姿と機能 ダニエル・ストリューヴ
 その後の「世之介」―好色本・春本のセクシュアリティと趣向 中嶋隆
 コラム:西鶴が『男色大鑑』に登場するのはなぜか 畑中千晶
 春画の可能性と江戸時代のイエ意識 染谷智幸
 艶本・春画の享受者たち 石上阿希
 春画における男色の描写 アンドリュー・ガーストル
 コラム:欲望のありがちな矛盾―男が詠う春本の女歌 小林ふみ子

第三部 時間を翻訳する―言語交通と近代
 [イントロダクション]呼びかけられる声の時間 野網摩利子
 梶井基次郎文学におけるモノの歴史 スティーブン・ドッド
 テクストの中の時計-「クリスマス・キャロル」の翻訳をめぐって 谷川惠一
 近代中国の誤読した「明治」と不在の「江戸」―漢字圏の二つの言文一致運動との関連 林少陽
 漢字に時間をよみこむこと―敗戦直後の漢字廃止論をめぐって 安田敏朗
 「時」の聖俗―「き」と「けり」と 今西祐一郎
 コラム:日本文学翻訳者グレン・ショーと「現代日本文学」の認識 河野至恩
 コラム:『雪国』の白い闇 山本史郎

三年間のおぼえがき−編集後記にかえて 谷川ゆき

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