サクロモンテノキゲン

サクロ・モンテの起源

西欧におけるエルサレム模造の展開
関根浩子 著
ISBN 978-4-585-22188-3 Cコード 3022
刊行年月 2017年11月 判型・製本 A5判・上製 352 頁
キーワード キリスト教,宗教,西洋,中世

定価:4,620円
(本体 4,200円) ポイント:126pt

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書籍の詳細
山上の聖地、サクロ・モンテ

エルサレムの一種の模造建築、聖地パレスティナの代用巡礼施設、プロテスタントに対するカトリックの要塞などさまざまに解釈されてきた宗教施設「サクロ・モンテ」。その起源は、聖地巡礼の実践の必要性が次第に失われた中世以降、危険な長旅を敢行できない者に巡礼の機会を提供すべく導入された代用の巡礼地の最終形態、「代用エルサレム」にある。
中世西欧の巡礼や聖地模造の伝統を受け継ぎ、北イタリアの宗教的諸事情の中で独自の近世的形態を獲得したその歴史を明らかにする。

 

 

目次


第1章「サクロ・モンテ」の定義と研究史
1 「サクロ・モンテ」の定義
2 イタリアのサクロ・モンテ研究史

第2章 15世紀以前の西欧におけるエルサレムの模造建築
1 キリスト教徒のエルサレム憧憬とその模造の伝統、並びにサクロ・モンテの関係
2 14世紀以前のエルサレムの模造建築
3 15世紀のエルサレムの模造建築

第3章 ミラノ管区ヴァラッロのサクロ・モンテ―フラ・ベルナルディーノ・カイーミの「代用エルサレム」
1 ヴァラッロの初期の施設に関する先行研究
2 最古の巡礼案内書に言及されている礼拝堂とミステーリ
3 1514年の案内書に挙げられた礼拝堂の設置場所の同定
4 1514年の案内書の礼拝堂群とエルサレムの「キリストゆかりの聖蹟」
5 フラ・ベルナルディーノ・カイーミの「代用エルサレム」―結びにかえて

第4章 トスカーナ管区サン・ヴィヴァルドのサクロ・モンテ―フラ・トンマーゾ・ダ・フィレンツェの「代用エルサレム」
1 レオ10世の返書と先行研究の問題
2 検討史料群と同定問題の再検討
3 フラ・トンマーゾ・ダ・フィレンツェの地形模倣的「代用エルサレム」
4 地形模倣的「代用エルサレム」から「サクロ・モンテ」へ―結びにかえて

第5章 形態の変遷から見たイタリアのサクロ・モンテとその他の巡礼施設の展開
1 サクロ・モンテ隆盛の背景
2 トレント公会議後の巡礼施設:「サクロ・モンテ」の諸類型と展開
3 南チロル(トレンティーノ=アルト・アディジェ州)の「カルヴァリオ山」

結語
謝辞
図版出典
初出一覧
参考文献
プロフィール

関根浩子(せきね・ひろこ)
1963年、埼玉県生まれ。崇城大学芸術学部美術学科教授。筑波大学大学院芸術学研究科博士後期課程修了後、同大学院博士特別研究員など公設・私設の研究員などを経て現職。専門は西洋美術・文化史(特にイタリア)、日本近代美術・文化史。
訳書に『キリストの受難 十字架の道行き―心的巡礼による信仰の展開』(勉誠出版、2016年)、最近の論文に「日本における模造ルルド発生考―パリ外国宣教会の日本における再布教との関係から」(『崇城大学芸術学部研究紀要』、2014年)などがある。

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