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移動生活のため必要最低限のモノしか持たないといわれてきたモンゴル遊牧民のくらし。しかし実際は、目新しいモノに目敏く反応、入手経緯を逐一尋ね、欲しいモノなら即座にかけ合う交渉社会であった。モノに関する情報はそれ自体が交換財的価値を帯び、各世帯で秘匿・公開を戦略的に管理する。現代を生きる遊牧民のモノをめぐる実践を活写する文化人類学的挑戦!巻末には、遊牧民一家の生活世界にある全モノ目録を収録。
堀田あゆみ(ほった・あゆみ)1980年、大阪府生まれ。総合研究大学院大学文化科学研究科地域文化学専攻単位取得退学。博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員PD、関西学院大学受託研究員。専門は文化人類学で、モンゴルの遊牧文化、情報行動などを研究テーマとする。主要著作に『モンゴル遊牧民エンフバト一家のモノ語り Nomadic Life in Mongolia: Stories of the Enkhbat Family and their Belongings』(2015年、テクネ)、共編著に『梅棹忠夫のモンゴル調査スケッチ原画集』(2013年、国立民族学博物館調査報告111号)、論文に「モノの流通と消費にみるモンゴル遊牧民の生存戦略」(2016年、風戸真理・尾崎孝宏・高倉浩樹編『モンゴル牧畜社会をめぐるモノの生産・流通・消費』、東北大学・北東アジア研究センター叢書第58号、131-159頁)などがある。