アジア遊学228
ユーラシアノナカノウチュウジュセイメイノキノブンカシ

ユーラシアのなかの宇宙樹・生命の樹の文化史

山口博 監修/正道寺康子 編
ISBN 978-4-585-22694-9 Cコード 1339
刊行年月 2018年12月 判型・製本 A5判・並製 328 頁
キーワード 文化史,民俗学,古典,アジア,世界史,日本史

定価:3,080円
(本体 2,800円) ポイント:84pt

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書籍の詳細
聖樹を核とするユーラシアの文化回廊を描く

北欧エッダのユグドラシル、シベリアやモンゴルにおけるシャーマンの樹木信仰、中国の『山海経』にみえる建木、諏訪大社の御柱や東日本大震災を生き抜いた奇跡の一本松…。
世界の中心軸としての宇宙樹(世界樹)の観念や豊穣・再生を象徴する生命の樹の思想は、時代・地域・民族によりさまざまな名称で呼ばれ、神話や儀礼、芸術、文学のなかでシンボル化され、人々の心に根付いてきた。
古代から現代に至る宇宙樹・生命の樹の思想と精神文化、そのベースとなる樹木崇拝・巨木信仰の諸相を、ユーラシア北方から日本への文化伝播に焦点を当てながら、民俗・考古・歴史・神話・文学など多角的な視点から掘り起こす。

 

 

目次
目次

序論 山口博

Ⅰ ユーラシアのなかの宇宙樹・生命の樹
よみがえる生命の樹 山口博
生命の樹の思想 山口博
ユーラシア草原文化と樹木 林俊雄
世界樹・生命の樹・シャマンの樹 荻原眞子
モンゴルの樹木信仰 新巴雅爾
中国少数民族ホジェン族の叙事詩に謡われる「神の樹」 于暁飛
樹木の生命力と時間の想像 劉暁峰
「月中の桂」の正体をめぐる一考察 項青
「日代の宮」の百枝槻 辰巳和弘
『うつほ物語』・『源氏物語』の大樹―「死と再生」の物語 正道寺康子
中世小説(お伽草子)における樹木の諸相―四方四季の庭園の樹木、聖樹、宇宙樹、並びに擬人化された樹木 勝俣隆
生命のない庭の生命の樹 千田稔

Ⅱ ベースとしての巨樹信仰とその変容
巨樹と樹神―〈環境文学〉の道程 小峯和明
巨樹から生まれしものの神話―御柱の深層へ 北條勝貴
樹木と昔話 マツ村裕子(*「マツ」は「木+船の右」)
巨木と仙薬が奏でる物語―『うつほ』の物語、あるいは陶酔と幻想の「胡笳の調べ」 上原作和
「花の詩学」と「樹の詩学」(試論) 長谷川弘基
「ワークワークの樹」のはるかなる旅―『千一夜物語』から『西遊記』まで 長谷川亮一
近世随筆に見る樹木奇談―樹が動くとき― 碁石雅利
漱石文学と隠喩としての植物―『門』を中心に― 李哲権
泉鏡花、魂のゆくえの物語 兵藤裕己

あとがき 正道寺康子
プロフィール

山口博(やまぐち・ひろし)
富山大学・聖徳大学名誉教授、元新潟大学教授、北京日本学研究センター客員教授、文学博士。専門は日本古代文学を核にした比較文化。
主な著書に『王朝歌壇の研究』四冊(桜楓社、1967〜93年)、『古代文化回廊 日本』(おうふう、2004年)、『平安貴族のシルクロード』(角川書店、2006年)、『創られたスサノオ神話』(中央公論新社、2012年)、「ユーラシア北方文化の中の日本神話」(聖徳大学『論叢』に連載中)などがある。

正道寺康子(しょうどうじ・やすこ)
聖徳大学短期大学部教授。専門は平安朝物語文学。
著書に『日本琴學史』(共編著、勉誠出版、2016年)、論文に「『うつほ物語』とユーラシア文化」(『国文学 解釈と鑑賞』2011年8月号)、「『うつほ物語』と仙界の音楽」(『王朝文学と東ユーラシア文化』武蔵野書院、2015年)、「前期物語から見る物語史」(『新時代への源氏学8 〈物語史〉形成の力学』竹林舎、2016年)などがある。

書評・関連書等

★紹介★
「ほんのしるべ書標」(2020年3月号)特集「現代に息づく神話伝説・史実の英雄たちのことをもう少しだけ深く知るための本」で紹介されました。

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