平川祐弘決定版著作集
ワコンヨウサイノケイフ

和魂洋才の系譜

内と外からの明治日本
平川祐弘 著
ISBN 978-4-585-29401-6 Cコード 0010
刊行年月 2019年9月 判型・製本 A5判・上製 634 頁
キーワード 哲学,思想,日本史,近代

定価:11,000円
(本体 10,000円) ポイント:300pt

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書籍の詳細

平川氏は自身も文章家として第一級の人だが、氏が論じる鷗外は「二本足」の人だった。鷗外は自分自身の文化の中にすこやかに根ざしていたから、西洋に憧れて卑屈になることもなく、また西洋の重要性やその価値をむげに斥けることもなかった。その応答は人間として品位を保ち、独立を守り、首尾一貫する型である。(マリウス・ジャンセン『自由』)

畏友平川祐弘氏は、まことに《和魂洋才》の人である。六年の永きにわたって欧州の地に学びながら、単なる《西洋かぶれ》になることをいさぎよしとせず、ひるがえって《日本とは何か》という自問に深く思いをひそめた。本書は東大教養学科の逸材として夙に名の高い平川氏が、その該博な学殖を傾注して、あのなつかしい《和魂洋才》の時代、すなわち明治という豊富な過渡期を縦横に論考した名著である。(江藤淳、1971年)

これは明治日本の知識人が西学東漸の強力な衝撃波に応答して立ち上がり、異質の文明との対比によって自己の本然の姿を認識し、その認識から個人としての、また民族としての生き方を将来に向かって問いかけ方向づけようとした、その努力の歴史を跡づけた研究である。(小堀桂一郎『東京新聞』)

 

 

目次
第一部 非西洋の近代化とその心理
和魂洋才の系譜
森鷗外と「和魂洋才」
和魂漢才と和魂洋才
中華思想と他華思想
日本への回帰の諸問題
フランス・ルネサンスの場合
西洋文明との出会いの心理
森鷗外の『洋学の盛衰を論ず』
姉崎正治の「洋行無用論」
ベルツと森鷗外
文明摂取の諸媒体

第二部 非西洋の近代化と人種間問題
森鷗外と黄禍論―軍人、科学者、外国研究者の知的責任
白人の重荷と黄人の重荷―キプリングと徳富蘇峰
黄禍と白禍―アナトール・フランスの見方をめぐって
日本海海戦―ファレールの比較文化論的考察
戦時下の日本―クーシューが見た明治三十七年の東京
平和を唱える人と平和を結ぶ人―トルストイ、晶子、蘇峰

第三部 西欧化日本と和魂の行方
「普請中」の国日本―森鷗外の短篇とレンジェルの人種劇『颱風』をめぐって
森鷗外の『花子』―見返りの心理
「『生ひ立ちの記』序」について―大正期の鷗外における日本と西洋
ロシア革命と森鷗外―「『天の鍵』序」について
正宗白鳥の『迷妄』―『神曲』と『妄想』との関連で
地下の鷗外が心―遺言について

河出書房新社版へのあとがき(一九七一年)
付録 中野重治氏の非難に答える
平凡社ライブラリー版あとがき(二〇〇六年)反権威主義的権威主義者たち
明晰な論理と豊かな想像力(抜粋) 源了圓
文章力みなぎる必読書 大嶋仁
解説 和魂漢才から和魂洋才へ 粕谷一希
鷗外の遺言をめぐる論争 山下英一
他者との対決における日本 ジャクリーヌ・ピジョー
著作集『和魂洋才の系譜』に寄せて―学者のアイデンティティー 平川祐弘
書評 Wakon-yosai no keifu Marius B. Jansen
書評 Le Japon aux prises avec l’autre Jacqueline Pigeot
プロフィール

平川祐弘(ひらかわ・すけひろ)
1931(昭和6)年生まれ。東京大学名誉教授。比較文化史家。第一高等学校一年を経て東京大学教養学部教養学科卒業。仏、独、英、伊に留学し、東京大学教養学部に勤務。1992年定年退官。その前後、北米、フランス、中国、台湾などでも教壇に立つ。
ダンテ『神曲』の翻訳で河出文化賞(1967年)、『小泉八雲―西洋脱出の夢』『東の橘 西のオレンジ』でサントリー学芸賞(1981年)、マンゾーニ『いいなづけ』の翻訳で読売文学賞(1991年)、鷗外・漱石・諭吉などの明治日本の研究で明治村賞(1998年)、『ラフカディオ・ハーン―植民地化・キリスト教化・文明開化』で和辻哲郎文化賞(2005年)、『アーサー・ウェイリー―『源氏物語』の翻訳者』で日本エッセイスト・クラブ賞(2009年)、『西洋人の神道観―日本人のアイデンティティーを求めて』で蓮如賞(2015年)を受賞。
『ルネサンスの詩』『和魂洋才の系譜』以下の著書は本著作集に収録。他に翻訳として小泉八雲『心』『骨董・怪談』、ボッカッチョ『デカメロン』、マンゾーニ『いいなづけ』、英語で書かれた主著にJapan's Love-hate Relationship With The West(Global Oriental, 後にBrill)、またフランス語で書かれた著書にA la recherche de l'identité japonaise-le shintō interprété par les écrivains européens(L'Harmattan)などがある。

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