中世社会の構造と特質をとらえる
安房妙本寺及びそれと対立と競合を繰り返した駿河富士門流寺院(富士五山。北山本門寺・大石寺・西山本門寺など)の展開を中心にして東国の日蓮宗寺院における門流支配の実態を政治・経済・宗教の三位一体的関係の把握という視点から明らかにし、その中世から近世への史的展開を浮き彫りにする。
関係寺院に伝来する文書史料のみならず、各地に散在する聖教類・曼荼羅本尊・石造物など多様な資料を博捜し、寺院間の権力をめぐる対立と緊張、大名と領主との関係、由緒と伝統の創成、地域社会への影響などを解明。
従来研究のない上総藻原寺の研究も含めて、長年、中世東国史研究を牽引してきた著者による最新の研究成果。