平安時代の人びとの心性を探る
古代日本人の思想・宗教・文化や生活をいまに伝える『今昔物語集』。
そこには、幽霊、鬼、水や銅の精、狐などの霊力ある動物、格の低い神など、怪異を引き起こす異界の住人たちと人間との遭遇が活き活きと描かれている。
天皇・后妃・宮廷貴族、それに仕える侍や女房、さらには兵(つわもの)、僧侶、平安京で生活を営む庶民、地方の猟師などさまざまの階層の人間が登場し、彼らの好奇、不安、恐怖、驚愕、安堵、得意、悲哀、後悔等がかたどられる。
『今昔物語集』のうち、特に興味深い怪異を語る説話を集成した「本朝付霊鬼」巻に収録される四十五の物語について、読みやすい本文と注釈・考証・分析・批評を収録。