誰しもに悟りの可能性が開かれることをときに強調し、多様な人格を許容しうるかのように見える仏教。
しかし世俗社会からの支持や支援によって仏教教団が成り立つからには、教団もまた性的役割分担をはじめとする社会的影響を受けざるを得ない。
妻帯が禁止されている僧侶たちは、「家」を継承するためにどのような方法をとったのか。
仏教を信仰する集団における、男性の美醜の基準とはどのようなものだったのか。
仏教の中で女性はどのような役割を負わされ、どのように理想化されていたのか。
仏教学・歴史学・美術史学など多様なフィールドの研究者が、女性や性的少数者など、仏教史上のマイノリティの存在に着眼し、仏教が想定してきた性のありように迫る。