現代の我々の想像を遙かに超えて、中世の日本は、宗教的なものに満ちた世界であった。
それは、単に神仏への信仰という観念的なことでなく、何らか〈聖なるもの〉の存在や働きを、日常に身体感覚を通じて直接に受けとめたり、反対に人から何者かへ訴え、働きかけるダイナミックな〈冥と顕〉の相互の交信が、絶えず繰り広げられていた世界だったのである―。
各地に伝存する多種多様な寺院資料を紐解き、また、文学・絵画・建造物・芸能といった諸メディアとの連環をとらえ、中世日本における豊饒な宗教的世界観を立体的かつ通史的に描き出す必読の書。
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